日本代表、2010年への旅BACK NUMBER
思い出したいドイツW杯直前の記憶。
本番までに日本代表にできることは?
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byToshiya Kondo
posted2010/05/15 08:00
現地で発熱していたドイツ大会では体調管理に失敗して中村俊輔。今も左足の調子は万全ではない。遠藤の疲労や稲本の左足の肉離れなど不安要素も多い
南アフリカW杯に臨む日本代表メンバーの23人が発表され、その2日後には残り7人を含めた全30人の予備登録メンバーが発表された。7人のなかには23人枠への選出が有力視されていた田中達也、石川直宏や“サプライズ”として期待を集めていた小笠原満男、Jリーグで好調を維持している前田遼一らが名を連ねた。もし23人のなかでケガをした選手が出てくれば、基本的にこの7人が入れ替えの対象となるわけだ。
23人の最終登録メンバー期限は6月1日。まだ20日近くも残すなかで岡田武史監督は敢えて決断を早めたことになる。世界的に見ても23人の正メンバーを予備登録期限の段階で発表したのはブラジル、スイスなど少数で、ほとんどのチームが23人に絞る判断を先延ばしにしている。お隣の韓国代表でさえも16日のエクアドル戦を終えてから23人に絞る方針である。
日本協会の原博実技術委員長は「ギリギリの緊張のなかで競争させることがいいのか、早めに(人数を)絞って結束を固めて本大会に向かうことがいいのか、そこは監督の判断による」と話す。岡田監督は早い段階から選手たちの意識を本大会だけに集中させる意味で、後者を決断したのだと解釈できる。
元代表・福西崇史がドイツW杯直前のチーム状態を悔いる。
日本代表に残された期間は残り1カ月。大まかなスケジュールを言うと、15、16日のJリーグを終えると数日の休養期間を経て、21日から国内で代表キャンプをスタートさせる。そして韓国戦(埼スタ)、イングランド戦(オーストリア・グラーツ)、コートジボワール戦(スイス・シオン)と3つのテストマッチをこなしてから、初戦のカメルーン戦を迎えることになる。
国内、スイス、南アフリカのジョージでトレーニングを行ないながらこの3試合をどう有効活用していくか。そのチームマネジメントの重要性を、4年前のドイツW杯から学ぶことができる。
「ドイツ戦でチームが一度引き締まった。でもマルタ戦のあとに(日程が)空いてしまったので、そのときにもう一度みんなと話をしてもよかったのかなと今になって思う。空気的に締める必要があったのかもしれない」
ドイツW杯で主力のボランチとして出場した福西崇史は引退後に、ドイツ戦、マルタ戦を経て初戦のオーストラリア戦に向かったチームマネジメントについて、後悔しながらそう発言している。