フットボール“新語録”BACK NUMBER
“天才”柿谷曜一朗を蘇らせる、
C大阪・ソアレス監督の非凡な目。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byToshiya Kondo
posted2012/06/19 10:31
今年、レンタル先の徳島からセレッソに復帰した柿谷曜一朗。選手層の厚さに阻まれ、まだ途中交代での出場が多いが、時おり天才の片鱗を覗かせるプレーを披露する。
「もっともっと成長していける選手だ」
後半13分に相手からボールを奪うと一気にドリブルで2人をかわし、GKが飛び出す逆を突いてボールを右隅にフワリと流し込んで逆転弾。試合後、柿谷は「右隅が空いているのが見えた」と語った。後半41分にはセットプレーのこぼれ球をダイレクトでミートし、相手の股下を通して決勝弾をネットに突き刺した。
試合後の会見で、ソアレス監督は柿谷を絶賛した。
「彼の一番の大きな持ち味は、並外れた技術を持っていること。日本を見渡しても、柿谷ほどの技術を持っている選手はなかなかいないと思う。ボールを持ったときに相手の意表を突くプレーができ、スピードに乗ったドリブルができる」
「今日のようなプレーは、練習でいつも見せていることだ。それをとにかく試合で出すように、しつこくうるさいくらいに言っている。ただし、まだまだ満足できるものではない。もっともっと成長していける選手だ」
これまで日本にいなかったタイプのアタッカー誕生か!?
遠藤のようにパスを出す天才ではない。香川のようにパスを受ける天才でもない。だが、ボールを運ぶ天才として、今の日本においてこれほど魅力的な能力を持った選手はいないだろう。
ヨハン・クライフが「すべての短所には長所がある」と言うように、ムラっ気があったとしても、そこだけをクローズアップするべきではない。特別な感性を持ったソアレス監督の下で、しかるべき場所で起用され続ければ、これまで日本にはいなかったタイプのアタッカーが誕生するのではないだろうか。