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四球の多さが気になるダルビッシュ。
原因はふたりの捕手のリードにあり?
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byGetty Images
posted2012/05/27 08:02
5月11日のエンゼルス戦でリーグトップの5勝目を挙げた時のダルビッシュとナポリ(左)。ダルビッシュ本人は、ナポリ、トレアルバの両捕手とは公私ともに仲が良い。運転免許の無いダルビッシュのために運転を買って出ているナポリとは、ツイッターでも英語でジョークを飛ばし合うほどの仲だ。
エースが「指名捕手」を持っている場合もあるメジャー。
たしかにトレアルバが捕手を務めた4月19日のタイガース戦では、ダルビッシュは強力打線を相手に、初めて自分らしい投球を見せた。これが「トレアルバ株」が急上昇したきっかけだったと思うが、つづく4月24日のヤンキース戦でも8回3分の1を投げた素晴らしい投球をしており、この時の捕手はナポリだったのである。
ただ、5月21日の乱調となったマリナーズ戦でマスクをかぶっていたのはナポリで、「彼が受ける時に制球が乱れるのではないか?」という仮説が生まれる土壌ともなった。
ダルビッシュはトレアルバの方が合っているのではないか? という疑問も湧いてくる。実際、メジャーではエースが「指名捕手」を持っている場合もあるから、こうした議論は建設的なものだ。
バッテリーを組むチャンスもほぼ同等とみて、では、ナポリとトレアルバが捕手だった時の数字を比較してみることとしよう。
「速い球」中心のナポリと柔軟なリードのトレアルバ。
気になる配球はどうなのか。
私が重宝しているアメリカの野球サイト「Fangraphs.com」には各試合での球種の割合が分析されているが、直近の2試合を比較してみよう。
5月16日のアスレチックス戦で好調な投球を見せた相手はトレアルバで、21日がナポリ。対照的な投球となったが、ふたりのリードに目立った違いはあったのか?
サンプル数として少ないのは認めるが、ふたりのリードには大きな違いがあった。
●ストレート
トレアルバ 45.8%
ナポリ 55.2%
●スプリット
トレアルバ 16.1%
ナポリ 2.1%
これは極端なデータなのだが、他の試合とのデータも合わせて考えると、どうやらナポリは投球の3分の2ほどをストレートとカッターという90マイルを超える「速い球」を要求する傾向が強いようだ。特に四球が多い日は、どうしてもストレートの要求が多くなる。
一方、トレアルバの方には「傾向」が見つけづらい。