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四球の多さが気になるダルビッシュ。
原因はふたりの捕手のリードにあり?
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byGetty Images
posted2012/05/27 08:02
5月11日のエンゼルス戦でリーグトップの5勝目を挙げた時のダルビッシュとナポリ(左)。ダルビッシュ本人は、ナポリ、トレアルバの両捕手とは公私ともに仲が良い。運転免許の無いダルビッシュのために運転を買って出ているナポリとは、ツイッターでも英語でジョークを飛ばし合うほどの仲だ。
ダルビッシュが「基本的には」好調だ。
5月26日までに9試合に登板して6勝2敗、防御率は3.05。ここまでの数字をもとにシーズン終了時の成績を予想すると、一流投手の証ともいえる200イニングを超え、勝ち星は22勝まで伸びる計算になる。
6月もこのままの調子を維持すれば、オールスターに選ばれるのも確実ではないか。
ただし、気になることもあり……北海道日本ハム時代に比べ、極端に四球の数が多いのだ。
5月21日のマリナーズ戦では4回を投げて四球の数が6個。4回には3連続四球で自ら窮地を招き、タイムリーを打たれた(それでもその回は失点1、「ダメージコントロール」が巧みなのがダルビッシュの特徴でもあるのだが)。
レンジャーズに移って、ここまで出した四球は56イニングで32個。
昨シーズン、日本ハムでは232イニングを投げて四球はわずか36個。国は違えども、すでに5月の段階で昨年出したのと同じくらいの四球数を出している。
原因としては、日米のボールの違いなどいろいろなことが考えられるが、今回はダルビッシュの投球を受ける捕手の側から考えてみることにした。
ナポリとトレアルバ、相性がいい捕手はどちらか?
日本のマスコミで指摘されていることのひとつに、ダルビッシュと捕手との相性がある。
レンジャーズの正捕手はマイク・ナポリ。打撃力のあるレンジャーズの人気選手だ。打力を重視するチームだけにナポリの存在価値は高く、捕手を務めない日でも一塁、あるいはDHを打つ場合もある。
もうひとりの捕手がヨービット・トレアルバ。
かつてマリナーズでもプレーしていたことがあるが、彼の方が投手の調子を見極めながらリードをする捕手──こうした論調が見られる。