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風間フロンターレの不気味な動き。
大敗の初采配で見えた変革の予兆。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byAFLO SPORT
posted2012/05/01 12:10
就任してわずか4日間しか準備期間が無いまま臨んだ4月28日の対サンフレッチェ広島戦。風間八宏新監督は「短い(準備)時間だったが選手は(新しい指導法を)意識してやってくれていた」と強い手応えを感じているようだった。
ダイジェストでは分からない……川崎の不気味なニオイ。
スコアだけ見れば、間違いなくただのワンサイドゲームだ。ダイジェストを目にしただけの人にとっては、何も気に留めることのない試合だろう。だが、試合の詳細を掘り下げれば下げるほど、そこに日本サッカーの常識を覆すような“何かが眠っている”という不気味なニオイが湧き立ってくる。
広島戦の翌日、風間監督はクラブハウスから出てくると、普段通りの鋭い目で取材に応じ、試合を振り返った。
「まだまだだけども17本パスがつながってゴールが決まったわけだし、短い時間の中にいい攻撃がたくさん出た。広島はボールを持つチームと言われているけれど、こちらもちゃんとボールを持てていたでしょ。そういうのを含めれば選手自身で確信があると思うし、逆にオレは期待するよね」
「一番は負けたことよりも、らしい得点が取れたこと。これを増やしていきたい。数は少ないけれど、シュートもペナルティエリアの中から打っていた。その数を増やして行くことを考えれば、おもしろいことになる」
「選手の変化は毎日出てくるから、そのときに一番いい選手が試合に出る。オレは固定観念も先入観も一切ないから。選手は今日ダメでも明日ダメじゃない。何か1回ミスをして、その後ずっと使わなくなるということは絶対にない。チームとして本当やるためには、全員が高いアベレージにならないといけない。ああいうサッカーをやるためには、どこかでミスをすると変わっちゃうから。そういう意識をしっかり持ってもらいたい。まあもう変わって来ていると思う」
「慌ててない。まだ4日じゃん。それでも激変してるよな。激変して、激変して、安定するまでは時間がかかる。何かを修正するんじゃなくて、これから高めていかなきゃいけない。作っていかなきゃいけない。それを急には要求しない」
川崎の試合では、不思議な現象が起こり続ける!?
新監督のスタートとしては、ある視点では最悪であり、ある視点では最高の片鱗が見えたとも言える。
この試合において広島のコーナーキックは0本だった。あまり目にしたことがないデータである。これからも川崎の試合では、こういう不思議な現象が起こって行くに違いない。