サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
年齢別メンバー構成から見えてきた!
岡田ジャパン、最後の代表メンバー。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byKYODO
posted2010/05/03 08:00
ベテランを入れるか、若手を入れるか……日本代表に与えられる最後の「改革」の要素をどう活用するのか。岡田監督の英断が求められる
フランス大会と日韓大会のメンバー選出の違いとは?
フランス大会のメンバーの年齢分布は、日韓大会とまったく同じである。主力選手の年齢層も似て、各世代のバラけ方も理想的だ。ただ、違うのはラスト2枠に入ったメンバーの顔触れである。
フランス大会の時は、カズと北澤豪が落選したが、その背番号を受け継いだのが小野伸二(18歳)と服部年宏(24歳)である。
日韓大会の時は、中澤佑二(24歳)と久保竜彦(25歳)が落選して、秋田豊(31歳)と中山(34歳)が入った。
フランス大会は若手+中堅、日韓大会はベテラン二人。この2枠の選考が、その後のグループ運営に影響を与えた。
フランス大会の時は、チームの顔であるカズとベテランの北澤が落選し、パワーバランスが崩れてしまった。城彰二ら若手が主力となり、小野、服部、伊東輝悦らフレッシュなメンバーが入ったので、レギュラー組に自己防衛するエネルギーが働いてしまった。一見すると和気藹々としていたが、チームにプレーオフのイラン戦の時のような一体感を感じられなかったのは、そのせいだ。
なぜ日韓大会の時はベテランの加入が有効だったのか?
では、日韓大会の時、中山と秋田が急に代表に入ってもアタフタせず、チームに同化していけたのは、なぜか。
日韓大会の時のチームは、ほぼレギュラーが固定されていた。中山と秋田は、それに不満気な様子を見せることもなく、練習では一切手を抜かず、若手の手本となり、陰でチームを引っ張った。彼らのサッカーに取り組む姿勢や考え方がチームに大きな刺激を与え、「ともに戦う」という一体感を生んだ。彼らは豊富な経験から「自分は何をすればいいのか」という自分の役割をきちんと認識できていたのである。「そういう存在が自分らの後にいてくれたことは、チームにとって非常に大きかった」と、宮本は言っている。彼らの存在があったからこそ主力選手は、安心して戦うことに集中できた。ベテランが目標達成に挑むグループに必要な「安定」という最後のピースに寄与したのである。
これが若い選手だとこうはいかない。「何をしたらいいのか」と考えてしまい、自分の行動パターンを定められず、出しゃばり過ぎたり、居場所を見付けられなかったりする。ようするに戦力として、力を発揮できずに終わってしまうケースが多い。