リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
逃げるマドリー、追うバルサ――。
白熱のリーガ後半戦を徹底検証する。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2012/02/08 10:30
第21節消化時点でレアルとバルサの勝ち点差は7。次回のリーグ戦での直接対決“クラシコ”は4月22日の予定。写真は24ゴールで得点ランキングトップのC・ロナウド
極度のプレッシャーにより格下との対戦でミスが出る。
だが、一度でもペースを乱したら茨の道の始まりだ。
バルサは最後まで諦めないので、ポイント差が縮まればプレッシャーは倍々で増大するだろう。また一部メディアやファンの期待も別種のプレッシャーとして選手にのしかかっていくに違いない。
こんなとき怖いのは気が緩みがちな格下との対戦である。3月下旬や4月の半ば辺りでつまずいたら、両者の差は5月の頭には一気に縮まっているかもしれない。
降格目前と思われたレバンテの健闘は驚きだが……。
次に、3位から中位にかけてのエリアだが、ここ数年CL出場権を争ってきたビジャレアルとセビージャが低迷したおかげで混戦となっており、折り返し地点では意外な名前が上位に入ってきた。
3位バレンシアに不思議はないけれど、4位はレバンテ、5位はエスパニョール、6位はオサスナ……。
中でも驚いたのはレバンテだ。
どちらかというと降格に近かったチームなのに、残留の目安となる42ポイントのラインを3月中にも越えられるだけの貯金を前半戦で作った。ケガもあってセビージャ時代は期待に応えられなかったコネの活躍が効いている。
しかし、そんなレバンテやオサスナがそのままヨーロッパへの切符を手にすることはないだろう。リーガという長期戦で最後までポイントを獲り続けるには、やはり戦力に不安がある。レバンテに関してはCBナノの中国移籍も痛い。
エスパニョールがCL・EL出場圏争いに勇み立つ。
一方で、ビエルサ監督のアイデアがいよいよ浸透してきたアスレティックや、新監督シメオネが活を入れたアトレティコは今後間違いなく順位を上げてくるだろうし、7年半ぶりにレジェスが帰ってきたセビージャもきっかけさえあれば上昇気流をつかむはず。
同様に、トゥラランやイスコらパフォーマンスが高いレベルで安定している選手を何人か抱えるマラガも、故障者の復帰などを機に波に乗る可能性がある。
特に注目したいのはエスパニョールで、後半戦のCL・EL出場圏内をかき回す存在になるかもしれない。毎年序盤はパッとしないチームだが、1月のバルサ戦では見事な対策を講じてポテンシャルの高さを証明した上、粒の揃った助っ人を3人も獲得したからだ。