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クロップ監督が異例の長期契約延長。
欧州制圧を狙うドルトムントの野望。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byItaru Chiba
posted2012/02/12 08:01
2016年6月までの契約延長が決まったクロップ監督。全うすれば、8シーズンでクラブ史上最長期間となる
ドルトムントがまたひとつ、未来へ向けて歩みを進めることになった。
1月30日、あるニュースがドイツ国内を駆け巡った。クロップ監督とツォルクSD(スポーツディレクター)の契約が2016年の6月30日まで2年間延長されることが決まったというのだ。
監督やSDは選手のように移籍期間が決まっていないため一概には言いきれないものの、通常は契約期間が1年を切るころまでに、さらに契約を延長するのか、それとも契約を更新せずに、新たな監督やSDを迎え入れるための準備を進めるのが通例だ。
ところが、クロップ監督とツォルクSDの場合は、約2年半の契約期間を残して、再度の延長が決まった。しかも、前回の契約更新から約1年2カ月しかたっていないのだから、異例なものに映る。このニュースが意味するのは、ただ一つ。
ドルトムントの未来を彼らに託すという判断をクラブが下したということだ。
序盤の不調をはねのけた底力に選手たちは手応えを。
そこにはいくつかの理由がある。まずは、以前にもこのコラムでお伝えした通り、昨シーズンの収支において過去最高益を記録したから。
そして、もうひとつ。ピッチ上でも着実に成績を残しているからだ。
過去5シーズンのブンデスリーガではドルトムントの他にバイエルン、ヴォルフスブルク、シュツットガルトが優勝しているのだが、多くの場合、優勝した翌シーズンには調子を崩している。
しかし、今季のドルトムントは違う。
シーズン序盤戦こそ苦しんだが、今は優勝争いの中心にいる。香川は、後半戦が始まる前にこんなことを語っていた。
「(リーグ戦で独走して優勝した)昨シーズンの前半戦よりも明らかに手ごたえを感じています」
シーズン序盤戦に勝ち点を積み重ねられず、前年度優勝チームとしては過去最低クラスの成績しか残せない時期を過ごしながら、はい上がってきたため、今のチームには確かな実力が備わっていると選手たちは実感している。