MLB東奔西走BACK NUMBER
青木宣親と川崎宗則が打つ布石。
メジャー移籍新時代は始まるのか?
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byNaoya Sanuki
posted2012/01/23 10:30
WBCのプレー中、イチローと言葉を交わす青木宣親。メジャーで数々の伝説を作ったイチローの後に続けるか?
ポスティングによる交渉決裂はなぜ起こるのか?
ヤンキースから中島との交渉打ち切りが発表された際、一昨年の岩隈久志投手とアスレチックスに続くポスティング制度による交渉決裂に、制度そのものを疑問視する声が多く飛び出した。
メジャーへ移籍したい選手と、その選手を獲得したいと思い入札に参加するチームの間には“相思相愛”の関係が本来は成立してるはず。なのに、あくまで控え選手としての獲得に動いたヤンキースと、最終的には先発選手として出場にこだわった中島には、大きな隔たりがあった。
ヤンキース以外で入札したチームの中に中島を先発選手としての獲得に動いたチームが存在し、そのチームにも交渉権が回るシステムであったのなら中島が西武に残留することはなかっただろう。こういうことが頻繁に起こるなら、ポスティング制度を肯定することができないのも当然だ。ただ、このシステムを否定するだけの論調にも、納得できない部分はある。
メジャーの平均年俸以下でしか入札が無かったという事実。
中島を控えとして考えたヤンキースが、さらに、ブラウンの一件で急きょ入札に参加したブルワーズが、それぞれメジャーの2011年平均年俸(309万5000ドル/約2億4000万円)にも満たないわずか250万ドル(約1億9250万円)でふたりを落札した事実は否定することができない。
ここはやはり、根底にある日本人野手の低評価という本質に、もっと目を向けるべきなのではないかと思う。
野手に限らず日本人投手の評価も、メジャーでは毎年のように変動し続けている。それでもなお、2006年の松坂大輔投手に続きダルビッシュ有投手では、史上最高額(5170万3411ドル/約39億8120万円)で落札される好評価を得た。理由は至って簡単だ。日本人投手たちが全体的にメジャー球界からそれなりの評価を受ける活躍を続けてきたからだ。