日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
平壌でザックの無敗記録ストップ!
遠藤不在時の打開策、いまだ見えず。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byKYODO
posted2011/11/16 12:15
北朝鮮代表のパク・ナムチョルが決勝のヘディングシュートを決めた瞬間。日本代表は、北朝鮮代表のフィジカルを前面に押し出した強い圧力を受け、為すすべもなく翻弄され続けた
“完全アウェー”の雰囲気にのみ込まれてしまった。
1989年以来、22年ぶりに実現した北朝鮮でのアウェーマッチ。北朝鮮の国旗を振る人々、激しいブーイング、鳴り響く太鼓……5万人の大観衆が詰め掛けた金日成競技場のなかで、日本は本来の力を出し切れないまま試合を終えた。既に3次予選を突破したことで先発メンバーを大量に入れ替えて臨み、テスト的な意味合いもあったとはいえ、アルベルト・ザッケローニ監督が就任して初の黒星となった。
この敗戦から見えてきた教訓とは何か、来年6月からスタートする最終予選に向けた課題とは何か。日本代表として2度W杯に出場した福西崇史氏に、タジキスタン戦に引き続き話を聞いた。
福西氏が注目したのは、遠藤が不在の時の「対応力」。
遠藤保仁、香川真司、川島永嗣らタジキスタン戦の先発メンバーから6人を入れ替えて臨んだ試合。開始わずか7秒でシュートに持ち込まれると、激しく体をぶつけてくる北朝鮮に序盤からペースを握られてしまう。強いプレッシャーにさらされてミスが目立ち、“受け身”から脱却できないまま前半終了のホイッスルを聞いた。前半、日本のシュートはミドルの2発のみ。攻撃の形すらつくれなかった。
「人工芝は天然芝よりもボールがバウンドするため、処理する間に相手から寄せられてしまう難しさはあったにせよ、北朝鮮はブラジルW杯に行ける可能性がなくなっても日本に勝つんだというモチベーションを最大限に高めてきた。(勝利に対する)思いに明らかな差があったように思う。ただ日本はいつものメンバーではなかったこともあって、リズムがなかなか生まれなかった。ペースを変えられないことで苦しい戦いを強いられた印象です」
福西氏が注目したのは、チームの頭脳である遠藤が不在のときにどう状況を打開するか、だった。臨機応変に空中戦から地上戦に移したタジキスタン戦のような「対応力」に期待したものの、遠藤というパーツが抜けたことにプラスして想像以上のアウェー感が「対応力」を鈍らせた。