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平壌でザックの無敗記録ストップ!
遠藤不在時の打開策、いまだ見えず。 

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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posted2011/11/16 12:15

平壌でザックの無敗記録ストップ!遠藤不在時の打開策、いまだ見えず。<Number Web> photograph by KYODO

北朝鮮代表のパク・ナムチョルが決勝のヘディングシュートを決めた瞬間。日本代表は、北朝鮮代表のフィジカルを前面に押し出した強い圧力を受け、為すすべもなく翻弄され続けた

遠藤不在時でも全員でカバーするチーム力が必要。

 試合は結局0-1で敗れ、金日成競技場は歓喜にわいた。シュート数も北朝鮮より下回り、相手のラフプレーはいただけないにしても結果だけでなく内容でも完敗したと言っていい。だが、完全アウェーの舞台で負けたことによって、最終予選やその先のブラジルW杯に向けて課題がはっきりと見えてきたことも事実だ。

 福西氏は言う。

「これからはもっとレベルの高い相手とやらなきゃいけなくなるし、その相手とアウェーでどう戦うかは課題となってくるでしょう。

 気持ちの切り替えなどいろいろな課題が見えましたが、やはり今回のことで気になったのは、厳しい試合で遠藤がいないときにペースを変えられないこと。日本には前のタレントが多くいて、そのタレントを活かすのが(現代表の)ボランチの役割。岡崎や今回先発で起用された清武は“味方を使う”タイプというより“味方から使われる”タイプです。彼らが働けるスペースをつくってあげられないと、当然苦しくなってくる。遠藤がケガなどで不在となるケースも絶対にないとは言い切れないわけだから、その場合でもうまく戦えるようにしておかないと、これからの戦いが厳しくなってくるのは間違いありません。

 タジキスタン戦で見せたように、相手の出方や環境に対する個々の対応力は出来てきた。後は、どんな相手にでもそれを形にすること。長谷部ら何人かの選手たちからはそのあたりが伝わってきますが、他の選手ももっと自信を持って『チームが勝つためにこうするべきじゃないか』とプレーで主張していい。たとえば、押し込まれている状況を変えるためにこっちもロングボールを蹴ってみるとか。お互いに主張しながら共通意識を高めていくことでチーム力をもっともっと上げてほしいと思います」

 良薬、口に苦し――。この北朝鮮戦の敗北を選手たちはそれぞれ重く受け止めたに違いない。2011年のラストマッチで味わったこの悔しさを次に活かさなければ意味はない。

 メンバー全員の底上げなくして、そして意識改革なくして真の強者とはなり得ない――そう教えられたような平壌の一戦だった。 

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