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福西崇史が語るタジク、北朝鮮2連戦。
“消化試合”でも絶対に譲れないこと。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2011/11/14 12:10
合宿先ドーハでの気温は34度。タジキスタンは0度。ところどころ土がむき出しになったピッチを試合前に見たザックジャパンの選手からは、「高校時代は予想外のはね方をする中でやっていたけど最近は(土のグラウンドでは試合を)やってないからなぁ」(岡崎慎司)という不安げなコメントも聞かれた
「アウェーの連戦で大事なのは、まずメンタル」
さて次のアウェーは北朝鮮戦である。チームは北京を経由して平壌入りする。
北朝鮮がアウェーでのウズベキスタン戦に0-1で敗れ、日本とウズベキスタンの3次予選突破が既に決定したために“消化試合”となってしまったが、福西氏は「重要な試合に変わりない」と位置づける。
来年6月からは最終予選がスタートし、今回のような“アウェー&アウェー”といった状況がないとも言い切れないからだ。最終予選に向けた絶好のシミュレーションと言える。
「アウェーの連戦で大事なのは、まずメンタル。3次予選を突破したという安堵感が強いと、気持ちが切れてしまう怖れもある。アウェーで2試合あるとすれば、2試合セットでひとつと考えるべき。だからそのなかの1試合が終わったにすぎず、2試合目が終わって初めてひと息つかないといけない。特に北朝鮮での試合ということで情報も少ないし、試合の雰囲気がどうなのかも分かりませんし。気持ちを入れ直すというか、もう一度しっかりとネジを巻いておく必要があるのかもしれません」
試合の疲れ、連日の移動で体の重さを感じる選手が出始める頃。
福西氏はジーコジャパンの主力として2005年、ドイツW杯アジア地区最終予選を戦い、アウェーでバーレーンを下した後、タイに移動して無観客試合となった北朝鮮戦に勝利してW杯行きを決めた経験を持つ。長距離移動、環境の変化、時差……アジア間でのアウェー連戦はメンタルだけでなく、肉体的な影響も大きいと福西氏は言う。
「微妙に時差が違ってくることもあって、思ってもみないような体の重さを感じたり、疲れも出てきます。今回も比較的暖かいドーハでトレーニングを積んでから朝晩の気温差が激しいタジキスタンに入り、休むことなく北朝鮮に移動することになる。移動もハードだし、コンディションにはいつも以上に気を配ってもらいたい」
試合会場となる金日成競技場は5万人収容のスタジアム。日本にとっては不慣れな人工芝のピッチとなるが、福西氏は「タジキスタン戦よりも戦いやすくなるのでは」と踏む。
「人工芝なので、おそらくボールのイレギュラーもないだろうし、タジキスタンのピッチよりは日本の技術力を活かせる環境だとは思います。(ピッチの)引っかかり具合とかもあるでしょうが、タジキスタン戦のように試合のなかで対応できる力が日本にはあるので特に心配はしていません」