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連続クラシコが今季も再び実現する?
バルサが挑む「狂気のカレンダー」。 

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工藤拓

工藤拓Taku Kudo

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2011/07/15 10:30

連続クラシコが今季も再び実現する?バルサが挑む「狂気のカレンダー」。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

昨季4月からのクラシコ4連戦は1勝1敗2分と結果だけをみると五分だったバルサとマドリー。また好勝負が期待できるか

クラブW杯準決勝の4日前にクラシコを戦う不条理。

 2つ目の問題は、バルサが出場するクラブワールドカップ準決勝の4日前に当たる12月10、11日の16節にクラシコが組まれたことだ。

 クラシコを10日(土)に行ったとして、11日は移動で潰れる。よって準決勝までに日本との8時間の時差ぼけを調整できる準備期間は実質3日間しかない。そのためバルサ寄りのメディアは2006年のクラブワールドカップ出場時と同様に、同節の延期を要求すべきだと主張している(当時は対戦相手のベティスが試合の延期を承諾した)。

 この点についてバルサのアンドニ・スビサレッタ・スポーツディレクターは「レアル・マドリーとLFP、テレビ、その他の関係機関と話し合い、フットボールにとって最善の解決策を見出したい。バルセロナが欧州フットボール界を代表してクラブワールドカップに出場することを忘れてはならない」と釘を刺した。

 一方、7日のLFP総会に出席したマドリーのエミリオ・ブトラゲーニョ外交ディレクターは「クラブワールドカップに支障が出ぬよう、バルサに協力したい」と協力的な姿勢を示しているが、果たしてマドリー(特にモウリーニョ)とLFPはどう出るだろうか。

 いずれにせよ、昨季の月曜クラシコが問題になった通り、クラシコの日程が不透明なままになるのは多くのファンやメディア関係者にとって不都合極まりないことである。

クラブの利益を追求するのか、リーガの事情を優先するのか?

 3つ目の問題は12月13日、21日に組まれたコパ・デル・レイ4回戦だ。先述の通り、バルサはクラブワールドカップ準決勝の2日前に当たる13日に第1戦を行うのは不可能。代替日程を見つけなければならないのだが、現状有力と見られている(というより他に選択肢がない)11月17日はFIFAが指定する国際Aマッチデーの2日後に当たる。この日に行われる代表戦を巡り、利害関係が対立する各国協会とバルサの間で駆け引きが行われることは想像に難くない。

 リーガのカレンダーは完全な抽選で決められているわけではない。毎年クラシコが前半戦の山場となる11月末~12月中旬、優勝争いが大詰めになる3月末~4月中旬に組まれているのは、リーガの盛り上がりを考慮するLFPの戦略に他ならない。またバカンス中の8月やセマナ・サンタの連休中(3月下旬~4月上旬)は客入りが悪いから、強豪との対戦やホームゲームは避けて欲しい、といったクラブ側の要求が反映されることもある。

【次ページ】 バルサとマドリーの顔を立てるにはクラシコ連戦のみ!

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