ロンドン五輪代表、最大の挑戦BACK NUMBER
アジア最終予選を勝ち抜くために……。
U-22代表に必要な4つの条件とは?
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byTakuya Sugiyama
posted2011/07/04 10:30
アウェーでのクウェート戦敗戦後の関塚監督は「今回味わった苦しい戦いが最終予選でも続くと思いますが、チーム一体となって1戦1戦大事に戦っていきたいと思います」とより一層の団結力による躍進を誓ったが……
仲良し集団では、アジア最終予選は絶対に勝ち抜けない。
3つめは、戦う集団になることだ。
このチームは、非常に仲が良い。それがチームの特徴とまで言う選手もいるぐらいだ。しかし、仲良し集団では最終予選は勝ち抜けない。
例えばシドニー五輪の時、最終予選にトルシエ監督は中田英寿を招集した。当時はセリエAで活躍し、五輪代表の選手にとっては雲の上のような存在だった。稲本潤一をして「スーパースターが来て、簡単に近寄れない雰囲気やった」と言わせるほどの雰囲気だったという。だが、そうした刺激を入れることで、チームに良い緊張感を生み、新たな生存競争が生まれ、チームはワンランク上のレベルに達した。それが後のシドニー五輪での活躍に繋がったのである。
現チームには、キャプテンの山村和也を始め性格的におとなしい選手が多く、ヒリヒリした緊張感はない。
だからこそ、レベルの高い選手を加えて緊張感を与え、戦うことの厳しさを学ばせることが必要になってくる。
そして、今その役割を果たせる存在は、香川真司しかいない。
ただ現実的には香川の招集は困難である。だとしたら、アテネ五輪の時に山本昌邦監督が強化合宿に明神智和や宮本恒靖らを招集しレベルアップを計ったように、極めて高いプロ意識を持つ選手でもいい。土壇場になると精神的にひ弱さを露呈するチームだけに、こうした工夫をして戦う集団に仕上げていく努力が必要だ。
膠着した状態や押し込まれて苦しい時に必要な、個人技のある選手。
4つめは、個人突破できる選手の招集だ。
アウェーのクウェート戦は、暑さで足が止まり、日本は同点に追い付くことができなかった。だが後半は相手も足が止まっており、ここで個人技のある選手がいれば状況を打開できたはずなのである。
膠着した状態や押し込まれて苦しい時、状況を打開してくれるのは個人技のある選手である。強いチームには、そういう選手が必ずいるものだ。
関塚監督は、チームの和を尊び、組織で攻撃を構築していく姿勢から個の才能を持つ選手よりもハードワークできる選手を優先して起用している。だが、今回のクウェート戦が証明したように、それだけでは厳しいアウェーの戦いで点を取り、勝利するのは難しい。
では、どんな選手が必要なのか。