ロンドン五輪代表、最大の挑戦BACK NUMBER
アジア最終予選を勝ち抜くために……。
U-22代表に必要な4つの条件とは?
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byTakuya Sugiyama
posted2011/07/04 10:30
アウェーでのクウェート戦敗戦後の関塚監督は「今回味わった苦しい戦いが最終予選でも続くと思いますが、チーム一体となって1戦1戦大事に戦っていきたいと思います」とより一層の団結力による躍進を誓ったが……
ロンドン五輪2次予選は敵地でクウェートに1-2で敗れはしたが、ホームでの貯金がききトータルスコア4-3でなんとか突破を果たした。しかし、このままではロンドンへの道が相当困難であることも明確になった。この2次予選を検証し、さらにレベルアップしていかなければ最終予選を突破するのは難しいはずだ。
そこで2次予選の戦いから最終予選に向けて、対処すべき4つのテーマを挙げてみることにした。
まずひとつめは、暑さ対策。
アウェーのクウェート戦では、現地入りして試合までわずか2日しか猶予がなかった。暑さ対策として、日中の暑さを回避して身体への負担を軽減しようと毎日午後7時からの練習を行なったが、結局うまくいかなかった言わざるを得ないだろう。
試合前日には東慶悟ら数人が熱中症の症状を訴えるなど、暑さに慣れるどころか体調を崩す選手までが出た。また試合中には、山本康裕が熱中症のような症状で体調不良を訴え、途中交代する羽目になった。このことはゲームプラン上、非常に痛かった。交代のカードを余計に1枚切ることになり、試合の趨勢に少なからず影響を与えたからだ。
南アフリカW杯では大会前、高地に慣れる準備とトレーニングをしっかりこなし、本番で大きな成果を得た。そういう成功体験をベースに、今後は暑さ対策をしっかり練って事前に準備し、本番を迎えることが必要だ。
このチームは守備に関して、どこか他人任せみたいな部分がある。
ふたつめは、守備の意識の浸透だ。
負けたクウェート戦、こんなシーンがあった。
途中出場した大迫勇也が最初、まったく試合に入って行けなかったのだ。相手ボールになってもセンターライン付近で立ち尽くし、自分のマークが誰なのかを探して、キョロキョロしていた。たまりかねた監督が指示を出し、ようやくチェックにいけるようになった。
親善試合のオーストラリア戦でも、前日までカウンター対策の練習をしながら、準備したはずの守備網をあっさり破られて失点した。ホームでのクウェート戦の失点は、酒井がボールを奪われて生じたものだったが、選手にカバーに行くという意識さえあれば、十分に防げたものだった。こうした守備面の粗さが今回、非常に目立った。
このチームは守備に関して、どこか他人任せみたいな部分がある。
攻撃の連係だけではなく守備面での戦術をもう一度徹底的にチーム全員に浸透させていくべきだ。怠れば、間違いなく最終予選で強力なカウンターを持つ中東勢の餌食になるだろう。