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ジャンプ日本代表に謎の空白世代?
経済不況がスポーツ界に残した爪痕。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byREUTERS/AFLO
posted2010/01/20 10:30
1月16日に札幌・大倉山ジャンプ競技場で開かれたノルディックスキー・ジャンプのW杯第13戦。バンクーバー五輪日本代表の伊東大貴(雪印)が3位に入賞し、今季2度目となる通算4度目の表彰台に上った
競技存続のためには絶対にメダルが必要だが……。
この流れを見ていくと、バンクーバーオリンピックは、各競技団体にとって経済的な「背水の陣」と言えるのだ。
結果を残せば、お金が入ってくる。
これは北京五輪を思い出すと分かりやすい。日本では著しくマイナーだったフェンシングで、太田雄貴が銀メダルを獲得したことで、一気に認知度が広まった。太田個人は競技を続けるうえでも重要な、就職まで決まってしまった。
結果を残せば、お金がついてくる……可能性がいまの日本にはあるのだ。
バンクーバー五輪が開かれる2月は、3月の決算期を翌月に控えている。ここで結果を残せば恵まれた環境を引き寄せられるかもしれない。
ジャンプ団体のアンバランスな選手構成を見た時、恒常的な強化には、やはり経済的な安定が重要だということを、思い知らされるのだ。