青春GOLF ――石川遼に密着! BACK NUMBER
ライバルのはずが全米オープン優勝。
マキロイと石川遼の差はどれくらい?
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byKYODO/David Cannon(Getty Images)
posted2011/06/22 10:30
「パットが安定し、ラインの読みが外れることがあまりなかった」と語った石川遼は30位フィニッシュ。マキロイは「優勝をここにいる父に捧げたい」と、3つの仕事を掛け持ちしながら自身のゴルフを支えてくれた父に優勝を捧げた
次世代を担う「3R」の争いから、ひとり蚊帳の外に。
次世代を担う選手としてローリー・マキロイ、リッキー・ファウラー、リョウ・イシカワの頭文字を取った「3R」という呼び方もあった。
しかし、これは日本のメディアが使っているだけで、'02年のサッカーW杯を制したブラジル代表の「3R」(ロナウド、リバウド、ロナウジーニョ)をスポーツ紙が転用したものである。
もちろん米国でも3人の名前が期待の若手として挙げられたことはあったが、今年のマスターズではマキロイとファウラーの同組にジェイソン・デイが入り、石川はペアリングでも優勝争いという点でも蚊帳の外に置かれてしまった。
「あと2年練習を頑張れば、彼ぐらいのレベルに行けるかもしれない」
次第に引き離されていく感覚が焦りを生むことはないのだろうか。
そう考えた時に石川が昨年末に話していた言葉を思い出す。
「世界の同世代のプレーヤーと比べると、どうしてもまだまだ力不足と思ってしまうけど、リッキーもローリーも僕より年上。ローリーが米ツアーに勝ったのは(ほぼ)21歳だし、僕が21歳になった時に彼の記録を破れないかどうかは誰にも分からない。あと2年練習を頑張れば、もしかしたら彼ぐらいのレベルに行けるかもしれないと思って今を頑張っている」
ただし、越えるべきハードルは限りなく高くなった。
2位に8打差をつけた今回のマキロイの勝ちっぷりは石川も「異次元」というほど圧倒的だったからだ。
その差を埋める方法の1つとして、安直に思い浮かぶのは米ツアー参戦である。
もちろん予選会などで資格を手に入れなければいけないわけだが、さらに高いレベルに日常的に身を置くことで、大きなステップアップを果たせるかもしれない。
石川は全米オープン出発前に日本外国特派員協会で行った会見で、これに否定的な考えを示している。
「将来は米ツアーを主戦場にできる選手になりたいと思ってるけど、それが1、2年後になるのか5年、10年後かは分からない。以前、中嶋常幸さんに日本をホームツアーにしているからといってメジャーで勝てないことは絶対にないと言われた。アメリカで過ごしたからといってメジャーで勝てる可能性が上がるかは分からないと自分でも思う。
今は日本を主なツアーにして、通い慣れた練習場で練習し、その中で出場権を得た米ツアーの試合に出るといういいサイクルができている。今のところ、この環境を変えたいとは思わない」