青春GOLF ――石川遼に密着! BACK NUMBER
ライバルのはずが全米オープン優勝。
マキロイと石川遼の差はどれくらい?
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byKYODO/David Cannon(Getty Images)
posted2011/06/22 10:30
「パットが安定し、ラインの読みが外れることがあまりなかった」と語った石川遼は30位フィニッシュ。マキロイは「優勝をここにいる父に捧げたい」と、3つの仕事を掛け持ちしながら自身のゴルフを支えてくれた父に優勝を捧げた
3年前、中日クラウンズに出場した時の彼は「欧州の遼くん」なんて紹介をされていたものだった。
そばかすの残るあどけない表情に、モップと冷やかされたこともあるクルクルのくせっ毛、軽やかに飛び跳ねるような歩き姿は変わらぬまま、ゴルフは着実に、そして格段にレベルアップさせてついにメジャータイトルを獲得した。
今年の全米オープンを制したローリー・マキロイのことである。
中日クラウンズに出たときはまだ18歳。欧州ツアー史上最年少で賞金シードを獲得した有望な若手選手としての来日だった。大会側は全米オープン最年少出場を果たしたハワイ出身のタッド・フジカワ、日本ツアー最年少優勝を飾った石川遼とともに最年少トリオの競演を売りの1つとしていた。
「リョウ・イシカワのうわさは聞いてる。お互いに持ち味を発揮して、優勝争いができれば最高。近い将来に世界の舞台でも戦いたいと思う。もちろんライバル意識はある」と話していたマキロイはこの時の中日クラウンズで33位。石川は予選落ちに終わっている。
2年前までは互いに刺激し合うライバル関係だったが……。
2人はことあるごとに世界の舞台で顔を合わせ、刺激し合う存在だった。
お互いに初出場だった'09年のマスターズでは同組でプレー。大会前には欧州ツアー最年少優勝を飾ったダニー・リーを加えた10代トリオとして注目を集めた。
昨年、石川が最終日に58を出して優勝した中日クラウンズと同じ週、マキロイは米ツアーで初優勝を勝ち取った。最終日のスタート前に石川の驚異的なスコアをネットで見て、自らも62を叩き出しての優勝。「リョウに追いつこうとしたけどダメだったね」と笑っていたものだ。
その後の全米オープンでは再び同じ組になり、石川が2位で予選突破の快進撃を見せたのに対してマキロイは予選落ちを喫した。この頃までは石川も2歳年上のライバルに肉薄して思えたものだが、ここから1年で大きく水をあけられてしまった印象である。
少なくとも「欧州の遼くん」とはもう二度と言えないだろう。