ベースボール・ダンディBACK NUMBER
'09年最高の外野手は赤松と栗山だ!
その真の実力を“数字”で検証した。
text by
田端到Itaru Tabata
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2009/12/08 10:30
ゴールデングラブ賞の選考には感心することも多いが……。
ただし本稿の目的は、ゴールデングラブの選考にケチをつけることではない。糸井嘉男、坂口智隆、稲葉篤紀という今年の3人の受賞者はいずれも守備の名手で、選考に異論はない。
むしろ坂口が、昨年の時点でゴールデングラブを受賞したことには感心させられたものだ。過去の記録を見ると、たいていこのような若手がレギュラーを獲った最初の年というのは、いくら守備記録が良くてもゴールデングラブをもらえず、1年か2年遅れで賞がついてくる。しかし坂口はレギュラー1年目から早々と評価されたし、それは今年の糸井も同じである。
また、外野手には守備範囲の広さだけでなく、進塁を阻止する能力、肩の強さなども求められ、RFがすべてだなどとは思っていないことをお断りしておく。
赤松(広島)の数値は過去5年をみても驚異的な記録なのだ!
続いてセ・リーグ。
過去5年のRFトップ3をまとめてみると……(表はこちら)。
目をひくのは'09年1位の赤松真人(広島)だ。以下、青木宣親(ヤクルト)、藤井淳志(中日)と続く。
赤松のRF2.29は過去5年でもリーグ最高。しかも終盤の交代が少なくなかった中でこの数値を叩き出しており、概算の守備イニングで計算するとRF2.7台という驚異的な数値になる!
以前所属した阪神ではポカが多く、当時の岡田監督に「アホ」呼ばわりされるなど不遇をかこったが、広島に移籍2年目の今季は初の規定打席にも到達。見た目にも足の速さがわかる守備範囲の広さで、難しい外野飛球を多数さばいた。
ゴールデングラブの投票でも4位に入っているから評価されていないわけではないが、このようなスーパー外野手に賞が回ってこないのが、セ・リーグとパ・リーグの違いというか、巨人の選手がいるリーグと、いないリーグの違いである。
守備記録はたいしたことないのにゴールデングラブをもらう選手には、歴代、巨人の選手の割合が高い。守備の印象はひとつのファインプレーで強く焼き付けられてしまうから、それだけ目にする機会の多い球団が有利ということだろう。
ちなみにRFが2.5を超えた歴代の名外野手は、1990年以降だと、'90年の山崎賢一(大洋)、'94年と'96年の飯田哲也(ヤクルト)、'07年の森本稀哲(日本ハム)の3人しかいない。
赤松がフルシーズン、センターのポジションを守ったら、いったいどのくらいの守備記録を残すのか。ぜひ見てみたい。