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バルセロナ 「完全なる敗北」。 

text by

田村修一

田村修一Shuichi Tamura

PROFILE

posted2007/01/11 23:00

「美しく勝利する」哲学を打ち砕いた、南米の飢餓感。

 インテルの激しい守備に、バルサは攻撃を分断され、次第に精彩を欠いていく。

 選手交替でもブラガは冴えを見せた。後半の頭からアレックスに代えファビアン・バルガスを投入したのは、ロングパスに頼るアレックスを下げ、ショートパス攻撃を徹底させるため。後半途中から入ったルイス・アドリアーノとアドリアーノが得点に絡んだ。インテルにとっては、思い描いたシナリオどおりの、会心の勝利であった。

 「このところのバルサは、あまりいい試合ができていない。今、あまり調子がよくないのではないか」と、ブラガは試合後に相手を気遣う余裕すら見せた。そして誇らしげにこう付け加えた。

 「私たちは、勝負のためにすべてを犠牲にした。選手は見違えるようによく走った。バルサに問題があったからではなく、選手たちの力でわれわれは勝った」

 一方、ライカールトは素直に敗北を認めた。

 「インテルナシオナルは勝利への飢餓感がもの凄かった。今の状況では、ヨーロッパのチームがこのタイトルを取るのは難しい」

 たしかに条件はすべてバルセロナに不利だった。だが本当に欲しいタイトルならば、かつてイタリアのクラブがそうしたように、リーグ戦を延期して来日することも可能だったろう。また準決勝から決勝まで中2日にもかかわらず、ターンオーバー制をとらなかった。主力のほとんどは、ブレーメン戦から4試合出ずっぱりである。そこまでしなくとも勝てると踏んでいたところに、バルセロナの驕りがあったというのは言いすぎだろうか。

 決勝前におこなわれた3位決定戦は、アルアハリがクラブアメリカを2対1で下した。昨年は最下位に終わったアルアハリが、準決勝でもインテルナシオナルを苦しめ健闘したのは、特筆に価した。エジプトらしい組織的なサッカーは、日本も近い将来に、このぐらいは出来るようになるのではという期待感を、見るものに抱かせた。

 とはいえその好勝負も、決勝の前には色あせて見えた。レベルの違いは如何ともしがたく、世界サッカーの中心はヨーロッパと南米であることを、改めて実感させた。チャンピオンズリーグを中心とするクラブシーンの隆盛では、南米はヨーロッパに敵わない。しかし南米には、ネームバリューはさほどなくともバルセロナを倒してしまうような強さと、わずか17歳、プロ契約3戦目でバルセロナ守備陣を翻弄したアレッシャンドレのような、底知れぬ才能を輩出する奥深さがある。

 「美しく勝利する」ことの難しさを、バルセロナは改めて感じたのではないだろうか。

[総力特集 2006年の真実]甦る死闘。

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