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今季の阪神を牽引するのは若虎軍団!?
世代交代を予感させる若手の大躍進。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2011/02/27 08:00

今季の阪神を牽引するのは若虎軍団!?世代交代を予感させる若手の大躍進。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

2月13日、ヤクルトとの練習試合に登板した榎田は、1回無安打無失点と好投を見せた

阪神では高濱以外にも若手抜擢の気運が高まる!

 大変身の最大要因として、ようやく体が出来上がったということは見逃せない。高校時代はか細かったのが、今は下半身がどっしりし、完全にプロの体になった。

“引っ張れない病”は21日の第一打席で放った右前打を見て克服したと思った。

 T-岡田(オリックス)の大躍進で注目される「小さい動きで、ブレをなくす」打法を実践していて、バットが最短でボールに向かっていけるようになったことが大きい。

 高濱以外でも野原祐也(3年目・外野手)、柴田講平(3年目・外野手)、俊介(2年目・外野手)、原口文仁(2年目・捕手)など若手の躍進が目立つ。昨年、高校卒ルーキー・秋山拓巳が華々しくデビューし、4勝したことで、阪神の若手抜擢の機運がこれまでになく盛り上がっていることは確かである。

ドラ1左腕で多彩な投球術を誇る榎田大樹は新人王候補に。

 投手陣ではドラフト1位榎田大樹(東京ガス)のコントロールに目が釘付けになった。20日は白組の3番手としてマウンドに上がり、いきなり岡崎太一にセンター左に本塁打されるが、あとの6人(2イニング)を完封。とくに6回は田上健一をカットボールで空振り、森田一成をシュートで見逃し、ベキオナチをスライダーで空振りと、3者三振に打ち取っている。

 とくに素晴らしかったのが外角低めへのコントロールで、追い込むまでは徹底してこのコースにこだわる。この日はストレート、スライダーが外角攻めのアイテムになったが、社会人時代は右打者に対してチェンジアップでアウトコースを攻める投球が目立ち、追い込めば外角低めを基本線にしながらストレートで内角を攻めるなど多彩なバリーエーションも見せた。

 22日は試合がなかったので、ブルペンに足を運んで主力投手の投球をしばらく見た。榎田はストレート主体で六十数球投げ、見事に内・外角低めにボールを集めた。打者が打席に立っていることを想定しているのだろう。社会人時代より狭くなったストライクゾーンをむしろ楽しんでいるような風情で、内外を投げ分けていた。

 高濱の打法を「(T-岡田の影響もあって)小さい動きで、ブレをなくす」と表現したが、榎田の投球フォームにも同じことが言える。とにかく上半身が余計な動きをしない。さらに、小さいテークバックでもピッチング全体が窮屈に見えないのは、投げに行くときステップする右足がグーンと前に長く伸びていく、“前のスケール”が大きいからだろう。「後ろ小さく、前大きく」はバッティング、ピッチングに共通する理想型と言っていい。澤村、今村猛(2年目・広島)と並ぶ新人王候補に挙げたい。

【次ページ】 2年目を迎える秋山拓巳の投球フォームは進化していた。

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