サハラマラソン挑戦記BACK NUMBER
まず30km走ってから飲み会って……。
砂漠ランナー新年会のべら棒な面々。
text by
松山貴史Takashi Matsuyama
photograph byMiki Fukano
posted2011/02/18 06:00
お台場海浜公園を異様な集団が走り抜ける……わずかな時間だったとはいえ、砂浜で走れたことは大きな収穫に。通常のマラソンとはまったく別次元のランニング体験!
ゴビ砂漠のマラソンを完走して上海まで自転車で帰る。
職業を尋ねると、多数派だったのはフリーランスで何かしている人で(notフリーター)、経営コンサルタントもいれば、会社経営者もいて、上述したように大使館勤務の人もいたりと、バラエティーに富んでいた。 もちろん普通のサラリーマンの方もいたが、やはりどこか「普通」じゃない雰囲気はあった。
みなさん、砂漠レースのために会社を辞めるくらい普通で、ゴビマーチを完走後、そのまま帰るのは勿体ないという理由で、自転車で上海まで走ったという人もいた。何が勿体ないかは良く分らないが、皆さん凄く楽しそうだった。彼らに言わせると、普通に決められたレールに従って働いている人の方が外れているとのことだ。
人間の「幸せ」について考えさせられる1日だった。そして自分は全然こっち側(普通)の人間でした。
絶対に教科書には載らない貴重なことを沢山学べた日。
今日は、サハラマラソン情報の収穫もたくさんあった。
走る練習だけじゃなく、水を飲みながら走る練習の勧めや(砂漠は過酷すぎて水を飲む元気もなくなる、そしてそれが理由で脱水症状に陥りリタイヤしてしまう。それを防ぐ意味でも、例えば5分おきに水分を摂る習慣をつけた方がいいとのこと)、野外での上手なトイレ方法、体重減量ではなく脱水症状とカロリー不足を避ける研究の勧め等、先人の知恵と言うか、教科書には載っていないサハラマラソン知識をたくさん得ることができたと思う。もっとも教科書にはこれから先も絶対載らないだろうが。
どんなものを買ったらよいのか見当がつかず、今回の情報収集の大きな目的であったザックとシュラーフ(寝袋)に関しても色々聞くことができた。
ザックの容量は本人の好みによるが35Lぐらいが理想で、軽さよりもフィット感、担ぎ易さを重視すべし、そして疲れを取るためにもシュラーフに関しては結構お金をかけた方がよくて、摂氏5度対応ぐらいがベストだそうだ。
たくさんの質問を投げかけてみたが、全体的にどこか曖昧に返答する雰囲気があった。砂漠レースの醍醐味は準備の段階から始まっていると誰かが言っていた。「過度の親切は悪事と同じ」という発想からだろうか。そして、人によってアドバイス内容が違っており、ある人はトレイルラン用のシューズを勧めるが、別のある人は普通のランニングシューズを勧めて下さった。自分で体験してみなきゃわからないってことですね。
帰り際、編集部Wさんと歩いていると「……砂漠……砂漠」とつぶやいていた。
どうやら洗脳されたらしい。
今日はたくさんの収穫があったが、宗教セミナーにでも参加したような、そんな強烈なインパクトのある新年会だった。
とりあえず、そろそろ砂漠用のギアを揃えていかないといけない。そして警察に注意されないようなところで、野宿の練習をしなければいけない。