Jリーグ観察記BACK NUMBER
Jリーガーに必要な“意識改革”とは?
欧州から学ぶ3つの大きなポイント。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byToshiya Kondo
posted2011/02/10 10:30
昨シーズンのベストヤングプレーヤー賞を受賞したガンバ大阪の宇佐美貴史(手前)
今季のJリーグが昨季よりさらに盛り上がるためには、新しいスターやダークホースの出現など、いろいろなポイントが必要だろうが、やはり最も大切なのはプレーレベルの向上だろう。そのために、個人的に鍵を握ると考えているのが「意識改革」だ。
昨年の後半に香川真司がドルトムントでブレイクし、この冬には長友佑都がインテルに移籍。Jリーグでトップグループの選手になれば、ブンデスリーガやセリエAで主力になる力があることが証明された。
まだプレミアリーグとリーガエスパニョーラでの成功例はないが、それに続く欧州の準トップリーグ(ブンデスリーガとセリエA)ならば、手が届かない存在ではなくなった。
依然として、リーグとして見ると、Jリーグと欧州リーグの間に差はある。だが、選手の技術レベルが底上げされている今、みんなが同じ課題意識を持ってプレーすれば、一気に差を縮められる可能性がある。言い換えると、意識を変えるべきポイントをクリアにして、みんなで共有すべきだということだ。
1cm、2cmにかかわるシュートタイミングの差が重要!
では、どんな意識改革をすべきか?
『シュートのタイミング』は、その代表例だ。
先日、ケルンの練習場に行くと、槙野智章がこう言っていた。
「ブンデスリーガでプレーして感じたのは、日本では打ってこないタイミングで、相手がシュートを打ってくるということ。その差は1cm、2cmかもしれないですけれど、そのわずかな距離を詰めなければ、ドイツではやられてしまいます」
こういう指摘はすでに過去にもあったが、数少ないヨーロッパでプレーするDFの意見だけに、より説得力がある。Jリーグの技術レベルは高いので、もっと早いタイミングでシュートを打てと言われれば、すぐに実行できるはずだ。
早いタイミングで打てば、それだけ精度は落ちるが、チャレンジを責めるのではなく、それを拍手で称えるような雰囲気がスタンドに生まれれば、さらに意識改革は後押しされるだろう。
また、『1人あたりのプレー時間』も大きな課題だ。