プロ野球PRESSBACK NUMBER
「悔しさを幸せに変えられるように…」ロッテのドラ1ルーキー西川史礁“10試合で登録抹消”から再出発のいま…涙で打ち込んだ「死に物狂い」の日々
posted2025/04/23 06:00

二軍で汗を流す西川
text by

梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph by
Chiba Lotte Marines
開幕から2週間、背番号「6」の姿はロッテ浦和球場にあった。ドラフト1位ルーキー・西川史礁外野手は4月12日、一軍登録を抹消された。球団の大卒新人としては28年ぶりの開幕スタメンを勝ち取り、5試合連続安打。順調なスタートを切ったが、その後は19打席連続無安打と苦しんだ。相手から厳しいマークを受け、打率は.132まで低迷。苦しむ若者の姿に首脳陣は、一度仕切り直したほうがいいと判断したのだ。
自分を見つめ直す時間を過ごす西川はこう振り返る。
「一軍で結果が出なくて悔しい思いをしました。一日でも早く一軍に戻って結果を出せるように今は毎日を死に物狂いで取り組んでやっています」
開幕一軍から一転…ぶつかった“壁”
ADVERTISEMENT
オープン戦では規定打席に到達しなかったが、4割を超える打率をマークして初のシーズンを迎えた。しかし、開幕すると徹底された厳しいマークにあった。
「難しいところを徹底的に突かれました。それを打ち返さないと一軍では活躍できない。そう思ってむきになって厳しいボールを強引に打ち返そうとして崩れた部分もある。インサイドを突かれて、外に落とされる。もしくはその逆。いつも同じパターンでやられた。歯がゆい想い。悔しい気持ち。この想いを決して忘れて消さないようにしたい」
そう話し、口元を引き締めた。
大学時代は春のリーグ戦で3年時と4年時の2度、MVPを獲得した。大学選手権、神宮大会でも優勝に貢献し、日本代表としても昨年3月の欧州選抜戦で2戦連続安打を記録するなど活躍。大学屈指のスラッガーの看板を引っ提げて、プロの門をくぐった。
もがき苦しんだ時間
キャンプからアピールを続けた。オープン戦も安打を重ね、3月28日、福岡でのシーズン開幕戦ではホークスのエース・有原航平投手の得意球の一つであるシュートを打ち返す勝ち越しタイムリーを放ち、チームの勝利に貢献するなど順風満帆なスタート切った。しかし、やはりプロの壁はあった。開幕からの連続安打が5試合でストップすると、長く暗い出口を見出せないトンネルに入り込んでしまった。
「オープン戦ではしてこなかった配球があった。オープン戦で打ってもシーズンで打てないとなんの意味もない。そのことはもちろんわかっていた。でもオープン戦とシーズンでは色々な事がまるで違った」(西川)