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[クリーンアップ・インタビュー(1)]佐藤輝明「考える大砲」

posted2025/04/24 09:01

 
[クリーンアップ・インタビュー(1)]佐藤輝明「考える大砲」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

text by

金子達仁

金子達仁Tatsuhito Kaneko

PROFILE

photograph by

Takuya Sugiyama

やわらかなスイングから放たれた、メジャー屈指のサウスポーからの一発は、その打棒が間違いなく進化している証だった。そして開幕戦での初打席初アーチ。「今年のテルは違う」。虎党がそう思ったのも束の間、直後に築く三振の山。かと思えば、火を噴く打球にアルプスが燃える。まさに山あり谷ありの獣道。だが当の本人は揺らいでいない。深い思索の中で今日もバットを振り抜くのだ。

 Good and bad fortune are like a twisted rope――禍福は糾える縄の如し。

 DeNAを京セラドーム大阪に迎えてのホーム開幕3連戦、佐藤輝明は禍いの真っ只中にあった。

 スタートは順調、いや、最高だった。広島での開幕戦、彼のバットは最初の打席でライトフェンスの向こう側へとボールを放り込んだ。チームの勝利に直結した決勝2ランに、プロ5シーズン目を迎えた佐藤の大ブレークを予感したファンも少なくなかったことだろう。

 予兆は、あった。

 3月16日、東京ドームでロサンゼルス・ドジャースと対戦した阪神は、前日のシカゴ・カブス戦に続き、3-0の勝利を収めた。勝負を決めたのは、4回裏、ブレーク・スネルから佐藤が放った3ランだった。

 最速100マイル(約161km)、平均でも95.7マイル(約154km)の強いフォーシームにチェンジアップ、カーブ、スライダーなどの鋭い変化球をちりばめるスネルは、通算の奪三振率で長いメジャーリーグの記録を塗り替えうる怪物左腕である。特に、左バッターに対する強さは圧倒的で、9シーズンにわたる全キャリアにおいても15本、昨シーズンに関していえばたったの2本しか本塁打を打たれていない。

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