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「悔しさを幸せに変えられるように…」ロッテのドラ1ルーキー西川史礁“10試合で登録抹消”から再出発のいま…涙で打ち込んだ「死に物狂い」の日々
text by

梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byChiba Lotte Marines
posted2025/04/23 06:00

二軍で汗を流す西川
ファンの期待の高さを知っているからこそ、もがき苦しんだ。打てなかった試合後には室内練習場に籠り、マシン相手に打ち込む姿があった。泣きながら打っている姿を目撃したというコーチもいた。ただ涙を流している事にはあえて誰も触れなかった。首脳陣は気持ちを汲んだ。黄金ルーキーにとってそれほどの挫折であり、悔しさだったということを。
結果が出ず、辛かった日々を西川は「結果が欲しいと毎試合、思った。自分のスイングが出来なくなって、なかなか結果が出なくて悔しい思いをした。なんとかしたいともがき苦しんでいた」と振り返る。
吉井監督とのやりとり
課題は明白だ。二軍合流を告げられた時に監督室で吉井理人監督と話し合った。
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「ここまでどうだった?」
指揮官は尋ねた。
「難しいです。厳しいところを攻められて、そのボールを打ちたくてやっている中で、崩されて打てる球も打てなくなってしまいました」
西川は率直な思いを打ち明けた。
「その中でどうすればいいかは自分の中で答えはあるのか?」
指揮官の質問に西川は「はい」と即答した。
「よし。自分の中で思っていること、やることをやって、しっかりと結果を出して、早く帰ってこいよ」
自分で自分と向き合い答えがあるのであれば、それ以上の注文はない。吉井監督は優しく送り出した。
バッティングの明確な課題
大塚明一軍チーフ打撃兼走塁コーチは取り組むべき課題の一つについてこう説明する。
「突っ込んでしまっている部分もあるけど間がない。足の着地と同時に手が出てしまっている。ピッチャーの間で打つのではなく自分の間をとれるように。オープン戦とか良かったころはそれが出来ていた。タイミング。タイミングがだんだん遅くなっていた。だから選球も悪くなる」
このことは、西川本人もしっかりと理解しており、二軍では時間をかけながら向き合っている。