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野球のぼせもんBACK NUMBER
リチャード二軍落ち“当日”ソフトバンク番記者が目撃した衝撃の光景「帰宅中の山川穂高が口を開いて…」リチャード25歳の苦悩「途中で涙が出てきた」
posted2025/04/18 11:00

プロ8年目で初の開幕スタメン入りも無念の二軍落ちとなったリチャード25歳
text by

田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
JIJI PRESS
◆◆◆
プロ8年目で初の開幕スタメン。
今年こそ「鷹のロマン砲」ことリチャードがついに大きく花開くはず――だと信じていた。
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だがしかし、待っていたのは厳しい現実だった。
「リチャードは今日で終わりです」
4月4日、みずほPayPayドーム。この日の西武戦でも今井達也の前に手も足も出ず2打席2三振に倒れると、7回裏に打順が回ってきたところで代打を送られ交代となった。開幕から6試合すべてにスタメン出場したものの22打数2安打で打率0割9分1厘、12三振、0打点と悲惨な数字が並ぶ。また、ソフトバンクは0-6と完敗して、じつに球団12年ぶりという単独最下位に転落したのがこの試合だった。
ゲームセットからわずか数分後。
「リチャードは今日で終わりです。明日からファームに行ってもらいます」
小久保裕紀監督は試合後すぐの囲み取材を終わらせる直前に自らそのように切り出して、監督室へと去っていった。怒気を含んだ声色には聞こえなかった。同時に、寄り添うような温かみもない。突き放しているというわけではないが、「終わり」という物言いがやけに心に突き刺さった。
どこかやるせない気持ちも残った。
「今年のリチャードは違う」
ペナントレースが始まるまでにこんな言葉を一体どれだけ耳にしただろうか。
「涙が出て…」猛練習で“開幕スタメン”
昨シーズンが終わった後のオフ期間ずっと、リチャードはチームの主砲である山川穂高と合同練習を行った。もう何年も前から師弟関係を築いている間柄ではあるが、昨季終了後にリチャードの方から山川に「絶対に変わりたいです」と懇願したことで、かつてないほど凄まじくハードで、かつ言い表せないほどの練習量と向き合ったのだった。
山川は「僕の考えですが、自主トレの場合は質より量です」と断言している。
かねてより練習量は豊富なタイプだが、そのレベルがもう1つも2つも上がるのだという。
「僕がやるのは非効率な練習です。今の時代は効率よく、100回やらなきゃいけないことを10回にまとめる時代。そうやって無駄な練習を省いていく時代なんですけど、めちゃくちゃ無駄な練習を含めて、とにかく量です。休むヒマはない。普通の人が100回やるやつを1万回やらせるくらいの、いわゆる根性系ってやつです」(山川)
そのうえでかわいい愛弟子を一皮むけさせるために「常人では乗り越えられない練習」を課したのだとも話していた。