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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「数はすごいけど、質となると…」キャンプで予見されていた? ソフトバンク「異変のワケ」…防御率“12球団ワースト”の惨状を救う救世主はいるか
text by

安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byJIJI PRESS
posted2025/04/11 11:01

まさかの下位に沈んでいるソフトバンクで、課題となる投手陣を救える「ニューフェイス」は誰なのだろうか?
前田投手に感じる「一軍投手の資格」とは、マウンドでの支配感だ。
投げる、守る、走者に気を配る。およそ、ボールを握っての作業に関しては、高校時代から欠点のない投手だったが、彼のピッチングを見ていて、それ以上に舌を巻いたのがマウンド上での風格。
打席に迎える打者の様子を、いつもマウンド上からジッと凝視して、自分から目を合わせにいき、打者の構えと同時か一瞬早く、モーションに入って、打者に呼吸を作らせない。打者にちょっとでも「好戦的」な表情を感じれば、自分から2歩、3歩とマウンドを離れて、捕手からの返球をもぎ捕りにいって、打者からの「気」を受けて立つ。
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「オレが投げずに、誰が投げるんだ!」
そんな気迫が、エースの矜持としてマウンド上に充満していた。
キャンプで見せた前田悠の「立ち振る舞い」
そして、この春の宮崎キャンプ。
ブルペンで投げる前田投手は、高校から入団した19歳・2年目の若手。右に、左に、大看板の先輩投手たちが、投球練習のためにマウンドにやって来る。
前田投手、どうするのか?
チラッと目をやると、軽く帽子のツバに手をやり、さりげなく「目礼」をすると、それだけでまたサッと自らのピッチングに没入していく。一軍キャンプのブルペンでも、マウンド上の支配感はなんら変わりなかった。
ソフトバンクホークスの「W前田」。
先輩サウスポーの前田純投手(24歳・189cm88kg・左投左打・日本文理大)は、ひと足先に今季から一軍ローテーションにのし上がった。