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「じつは…最初は全然通用しませんでした」マインツ佐野海舟24歳の告白…悩んだ「Jリーグとドイツの決定的な差」今は“ブンデス2位の個人データ”も…
text by

豊福晋Shin Toyofuku
photograph byDaisuke Nakashima
posted2025/04/09 11:01

ドイツ・マインツの街でNumberWebのインタビューに応じた佐野海舟(24歳)
「その差はめちゃくちゃありましたね。ドイツにきてそこを一番感じました。日本にいる時はパスカットもできてたし、相手に飛び込むプレーはあまりやってなかった。飛び込まなくてもうまく相手を誘導させられてたけど、ドイツでは自分が飛び込まずに誘導させてると思ってても、全然距離感が遠かった。そこが最初の壁でした」
描いた形でのボール奪取ができない現実の中で練習をこなす日々。日本にいた頃よりピッチ外の時間も増えたことで、考える時間も増えた。
「日々の練習から少しずつスピードに慣れていくこと、自分の武器をどうやって出していけるかと考えながらやっていく中で、徐々に練習で出せるようになってきて。ドイツでは相手に突っ込んでボールを取れなくてもある程度評価されるんですけど、自分の中では結局ボールを取れてなかったら何の攻撃にも繋がらないという思いが根本にある。失敗から少しずつ感覚を掴んでいって、今ではこっちのスピード感でちょっと止まって駆け引きできるようになってきましたね」
「正直、この順位は予想できなかった」
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自らのプレーについて考え抜いたという序盤、佐野自身はプレーには満足していなかったが、それでも試合には起用された。悩む佐野の背中には、指揮官の大きな信頼があった。
デンマーク出身のボー・ヘンリクセン監督は練習前後に佐野と個人ミーティングを繰り返し、自らの考えを伝えた。適応するまで段階的に起用していくのではなく、ある意味強引に、ピッチの上でやりながら身体に染み込ませた。
「当初は全然自分のパフォーマンスが出せてなかったんですけど、監督はその中でもずっと信頼し続けて試合に起用してくださった。練習からの取り組みや、自分がどういう風にやればうまくいくのかを一緒になって考えてくれて。求められているのはボールを奪うところや、チームのために走ること。当たり前だけど当たり前にできないようなことが自分はできると思っている。信頼されていると思うし、その分自分がプレーで返さないといけないなという、お互いのそういう気持ちでここまで来れたのかなと」
マインツは28節終了時点で4位。来季のCL出場権を十分に狙える位置にいる。佐野はその最大の理由は監督にあると断言する。渡欧1年目で信頼できる監督に巡り合えたのは幸運でもある。