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「ホエールズの横浜移転の面倒を見た」“ハマのドン”94歳が語る驚愕のベイスターズ裏面史「横浜市長が『なんであんなに弱いんだ』って」

posted2025/04/02 11:20

 
「ホエールズの横浜移転の面倒を見た」“ハマのドン”94歳が語る驚愕のベイスターズ裏面史「横浜市長が『なんであんなに弱いんだ』って」<Number Web> photograph by NumberWeb

大洋ホエールズの横浜移転、TBSへの球団譲渡とベイスターズの節目節目に常に関わってきた藤木幸夫氏。かつては横浜スタジアム会長も務めていた

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赤坂英一

赤坂英一Eiichi Akasaka

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「野球がなかったら、俺はとっくの昔に懲役に行って、今ごろ死刑囚になってるよ」
 そう言って豪快に笑う藤木幸夫氏を知るプロ野球ファンは、果たして世間に何人いるだろうか。しかし、横浜DeNAベイスターズには、“ハマのドン”と異名を取るこの人物を知らない関係者はほとんどいないはずだ。
 1930年、横浜市出身の94歳。横浜港の港湾・倉庫荷役事業の最大手・藤木企業の2代目経営者(現取締役相談役)にして横浜港振興協会会長、横浜港ハーバーリゾート協会会長でもあり、政財界と深く幅広いつながりを持つ。
 戦後の横浜復興に尽力した日本有数の実業家である半面、県立神奈川工業学校(現県立神奈川工業高校)野球部に所属していた経験から、野球振興にも熱心に取り組んできた。神奈川県野球協議会会長としてアマチュア球界を牽引する傍ら、かつてはベイスターズの本拠地・横浜スタジアムの取締役会長も務めている。〈全3回の1回目/つづきを読む〉

「俺はいつも言うんだよ。野球は頭のいい子、利口な子がやるスポーツ。それに引き換えサッカーは……って、大学野球の大会の入場式だとか、そういう公の場の挨拶でも言っちゃう。

 だから、俺はサッカー(の世界)には嫌われてるの。全国紙の支局長とか、いろんな人がここ(藤木企業本社応接室)へ来ては注意してくれたよ、そんな余計なこと言っちゃいけませんって。でも、日本人がやるべきスポーツは野球です。サッカーより絶対に野球。これ、本当のことですからね」

ベイスターズとの深い関わり

 かくも過剰なまでに野球への思い入れを持つ藤木氏は、地元球団ベイスターズにも様々な形で関わってきた。横浜スタジアムの建設、DeNAの前身・大洋ホエールズの川崎から横浜への本拠地球場移転、さらに大洋漁業(譲渡当時マルハ、現マルハニチロ)からTBSへの球団譲渡、等々である。

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「でも、(ベイスターズの)試合は見てないです。あんなの見てると、腹立つだけだから。弱いし、よく負けるしね。去年、日本一になったとは言っても、たまたま順番でなったようなもんでしょう。全然、何の愛情も感じてませんから」

 そううそぶきながらも、藤木氏の言葉の端々にはベイスターズへの愛情が滲む。その影響力の大きさと豪放磊落な性格から、大勢のベイスターズの関係者に慕われ、藤木氏も好んで交流を続けている。昨年、チームを26年ぶりの日本一に導いた三浦大輔監督も、藤木氏と懇意にしているひとりだ。

【次ページ】 三浦大輔がくれたお宝を…

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