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日本代表攻撃の最優先は久保建英でも三笘薫でも伊東純也でもなく…「モリヤスが他の解決策を」「個の爆発に頼るべきでない」トルシエがズバリ指摘
text by

田村修一Shuichi Tamura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/03/31 17:01

現日本代表は久保建英と三笘薫らワールドクラスに近づくアタッカーを複数擁する。ゆえにトルシエは「攻撃のオートマティズム構築」に期待を寄せる
「結論をいえば、試合に勝つための戦術がまったくもって不十分だった。その結果、日本はサウジアラビアに勝ち点1を与えた。サウジが勝ち点を奪ったのではない。日本がサウジに勝ち点1を提供した。サウジはそれを得るための努力をほとんどする必要がなかった。日本はこの試合に勝つためのプレーのバリエーションを欠いていた」
――エルベ・ルナール(サウジアラビア監督)も結果には満足していましたが、試合後の会見でも真剣な表情を崩しませんでした。
「それは私も感じた。彼には大きな重圧がかかっており、前半を終えたときには怒りを露わにしていた。ただ彼は守備的な戦術で試合に臨み、攻撃面では見るべきものは何もなかった。サウジの目的は日本で勝ち点1を得ることだったからだ。日本戦に引き分ければ、直接本大会出場を決める可能性が残る。次はアウェーのバーレーン戦で最後が……」
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――ホームのオーストラリア戦です。
「彼らは自信を得た。貴重な勝ち点1を獲得し、次の試合でもしオーストラリアが日本と引き分けたら……サウジとしては、日本がオーストラリアに勝つか引き分ければ、自分たちのチャンスが大きく広がると思っている」
“グループ”をさらに拡大していく必要もあるのでは
――それもあってサウジは先日の中国戦(リヤド)では攻撃的な戦術を採用し、ボール保持率も80:20でしたが、日本戦はそれがまったく逆(日本が73%、サウジは27%)でした。
「まったく異なる戦い方で、引き分けを狙い徹底的に守備を固めてきた。日本には勝利が必要でないことを彼らはよく理解していた。つまりすべての要素が引き分けに向けて揃い……ちょうど4年前のグループリーグ最終節、日本対ベトナム戦のような様相を示した。あの埼玉での試合でベトナムは日本と引き分け、勝ち点1を獲得した。リーグ戦の最終戦で、日本はすでに本大会出場を決めていた。日本からすれば、突破を決めた後はいつも同じような試合を繰り返しているということだ。ボールを保持するだけで満足し、本気で得点しようとはしなかった」
――今回は予選がまだ2試合残っているうえに、本大会までまだ1年以上あります。この間に日本は、どこを改善していけばいいでしょうか。どこに進歩の余地がありますか。