「戦力外から開幕ローテへ」巨人・石川達也が先発要員に急浮上したワケ…MLB東京シリーズで鈴木誠也が「凄かったです」と絶賛したある球種とは？

　野村克也元ヤクルト監督の野球論を実戦的にまとめた『野村克也　野球論集成　実技講座』（徳間書店刊）では、投手に必要な条件がいくつか列挙されている。

　第1に挙げるのは「強靭な精神力と体力」。2番目は外角低めでストライクを取れる制球力、いわゆる「原点能力」だ。そして3番目に指摘されているのが「平均以上の技術か球種を一つ以上」持っていることだった。

　ノムさんはこう語っている。

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「コントロールが自在。低めにしか球がこない。球が速い。よい変化球がある。タイミングを合わせにくい。必ず内角にくる。荒れ球ですっぽ抜けがたまにくる。モーションがいやらしい……など何でもよい。打者を意識過剰にさせ、自分のタイミングとスイングを許さないことで優位に立てる」

　そこが「平均以上の技術か球種を一つ以上」持っている投手の優位性だと説明しているのである。

「素晴らしい武器があるのでね。ローテーションに入れました」

　巨人・阿部慎之助監督がこう語って開幕3戦目のヤクルト戦で先発させる左腕・石川達也投手も、そんな「平均以上の技術か球種を一つ以上」持っている投手ということになるだろう。

鈴木誠也が絶賛した石川達也の「チェンジアップ」

　石川の武器は、言わずとしれたチェンジアップである。

　その特殊球の威力を見せつけたのは、「MLB東京シリーズ」のプレシーズンマッチ、3月16日のシカゴ・カブス戦だった。

　この試合で2番手として6回からマウンドに上がった石川は、先頭のピート・クローアームストロング外野手を一ゴロに打ち取ると、カーソン・ケリー捕手をチェンジアップで、ゲージ・ワークマン内野手をスクリューで2者連続空振り三振に打ちとった。さらに7回には2番のカイル・タッカー外野手をスクリューで空振り三振に仕留め、打席に迎えたのが3番の鈴木誠也外野手である。

　ボール2から外角に流れるスクリュー2球で2ストライクを奪うと、最後は外角低めにチェンジアップを決めて見事に空振り三振に仕留めたのだった。

　試合後に鈴木は、この日の試合で印象に残った選手として、真っ先に石川の名前を挙げ「チェンジアップが凄かったです」とこの球を絶賛したのだった。

MLB東京シリーズのカブス戦で3イニングを投げ3奪三振無失点に抑えた石川達也（右） ©︎JIJI PRESS

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DeNAで自由契約…巨人が獲得へ

　石川は高校野球の名門・横浜高校から法大を経て2020年の育成ドラフト1位でDeNAに入団。23年には一軍で中継ぎとして28試合に登板し防御率1.97、3ホールドをマークしている。しかし昨年は15試合の登板にとどまり、オフには球団から戦力外通告を受け育成選手での再契約を提示されたが、これを蹴って自由契約を選択している。

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