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“低反発バット時代”に「フルスイング野球」へ大転換!? 花巻東が「守り勝つ野球」を捨てたワケ「メジャーで日本人がHR王を獲る時代ですから」 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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posted2025/03/29 11:01

“低反発バット時代”に「フルスイング野球」へ大転換!? 花巻東が「守り勝つ野球」を捨てたワケ「メジャーで日本人がHR王を獲る時代ですから」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

花巻東は5番打者の赤間史弥をはじめ3人が木製バットを使用。豪快なフルスイングの野球へのスタイルチェンジを見せた

 教え子からメジャーリーガーを輩出したことで、そこからの情報もある。昨年11月に菊池が花巻東高校の近くに複合スポーツ施設「King of the Hill」を立ち上げた影響も大きい。

スタメンのうち3人が木製バットを使用

 しっかりとした量をこなす一方で、練習の質も充実させる。その両面が、選手の育成には大きなプラスになっている。その情報量は一朝一夕で得られるものではなく、佐々木監督が転換を決断して営々と積み上げてきた。これはチームを作っていく上で大きなアドバンテージだ。

 たとえば花巻東の打線は9人のうち4番から6番までの3人が木製バットを使用している。選手個々の感覚で選ばせている部分もあるが、1回戦で中越えの適時二塁打など2安打2打点の活躍を見せた赤間史弥には、スイングの数値でバットを選択させたという。

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「木製と低反発の金属バットのどちらがいいかを調べたところ、赤間は木製の方がいい数字が出ていたので、こっちにしたらどうかという話をしました。本人も納得した上で木製を使っています」

「僕の時代とは全然違う野球」

 選手が振っていく意識を高める上では、チームとしての戦い方が影響を与えることもある。育成を考えると、フルスイングをさせないような戦術は時には足枷になる。

 菊池雄星と同級生で、2番ショートを務めていた川村悠真コーチはいう。

「監督から『こういう野球をしよう』というふうに変えたわけではないのですが、徐々に話す言葉が変わっていきました。僕の時代とは全然違う野球になっています。当時だったら怒られていたようなことが、今では許容されています。それほど変化していると思います」

【次ページ】 育成だけでもなく、勝利だけでもなく

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