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野球善哉BACK NUMBER
センバツの“静かな異変”花巻東はなぜ「地元主義」をやめたのか…菊池雄星・大谷翔平に憧れる選手が「集まる」魅力ある高校のあり方とは
posted2025/03/29 11:02

7年ぶりにセンバツベスト8に進んだ花巻東。健大高崎に力負けはしたが、少しずつ変革を進めている
text by

氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
JIJI PRESS
「集める」というより「集まる」。
高校野球の強豪校は新しいフェーズに向かい始めている。そのことを思ったのは昨夏の甲子園であるニュースを聞いたときだ。
このセンバツで7年ぶりにベスト8に進出した花巻東が、2025年4月の入学生から選手募集の規定を改めるという。地元主義を貫いてきたところから一歩踏み出し、全国から選手を募集するということを決めた。
菊池、大谷に憧れる全国の選手の受け入れを「解禁」
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「これまではツテなどを通しては受け入れてきましたが、県内も県外も入学できるということになります」
昨夏、花巻東の流石裕之部長からこう聞いた。2007年に入学した菊池雄星を擁して全国の強豪に仲間入りを果たしてから、多くの選手が花巻東への入部を希望したものの、それは叶わなかった。そんな花巻東が新たな道を「解禁」することで、高校野球全体が変わっていくのではないかと思ったのだ。
「菊池さんや大谷翔平さんのようになりたい」――。花巻東に憧れる全国の選手たちの願いが叶えられるのである。
高校野球の性質上、地元や地域から愛されるということは大事な要素ではあるものの、本来、魅力的なクラブには、全国のどこにいても入学したいと思えるブランディングがあるはずでもある。菊池雄星、大谷翔平を輩出したチームで指導を受けたいと考えるのは、至極当たり前のことだろう。
多くの強豪校も同様の方針に
もっとも、これは花巻東が特別先進的というわけではなく、多くの強豪がその道を歩み始めている。決勝に進出している横浜のエース奥村頼人は滋賀県の出身だし、智弁和歌山のエース渡邉颯人は反対に神奈川県の選手であったりもする。
今から10年ほど前だったか。大阪桐蔭の西谷浩一監督がこんな話をしていたものだ。