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野球善哉BACK NUMBER
“低反発バット時代”に「フルスイング野球」へ大転換!? 花巻東が「守り勝つ野球」を捨てたワケ「メジャーで日本人がHR王を獲る時代ですから」
text by

氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byJIJI PRESS
posted2025/03/29 11:01

花巻東は5番打者の赤間史弥をはじめ3人が木製バットを使用。豪快なフルスイングの野球へのスタイルチェンジを見せた
メジャーで日本人がHR王を獲る時代に
「(以前までは)戦術・戦略で勝つようなチーム作りだったんです。でも、やはり甲子園に来てしっかりと打てないと勝てないなって感じるようになってきて、そんな中、バットが低反発に規定変更になりました。そこで自分自身もブレて戦術・戦略で昔みたいに機動力に戻した方がいいのかなと思うところもあるんですけども、片や、これから将来のことを考えると、戦術的に右打ちをすることやゴロを狙うというふうなバッティングはちょっと違うのかなと。
アメリカでも日本人選手がホームランのタイトルを獲る時代だと考えると、将来の育成のことを考えてしっかり振らせたい。ただ育成だけでもいけないので、勝つことと育成の両方を組み合わせてできればということを考えています」
強いスイングが第一にある。当然、ただ闇雲に思い切りフルスイングをするということではない。しっかりと軸を作ってスイングすることが基本としてあり、そのためのウェイトトレーニング、食事などがある。しっかり体を作った上で、基本となるスイングを身につけさせていくのだ。
データからスイングを作っていく
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練習の質を充実させるため、昨今隆盛のデータサイエンスにも向き合っている。スイングの角度や速度、打球速度などをしっかり把握した上で量をこなしていく。かつては当たり前とされたダウンスイングだけを選手たちにやらせることは少ない。
佐々木監督は言う。
「上からこう叩きつける、ピッチャーの足元を狙うなど、僕らの時代はダウンスイングで振らされてきたんですけど、スイングの軌道は日本でもアメリカでも変わりつつあるんじゃないかなと思います。
それは下から上に上げるということではないんですけれども、打球角度や速度など数値で見えるものもあります。指導者としては見えない部分でも見なきゃいけないんですけど、ただ、やっぱり(数値として)見えるものを活用していかなければならないんじゃないかなと思います」
選手が伸びていくために何が必要かを考えて、大きな転換を決断したわけである。大谷ら教え子の活躍にただ鼻を高くするのではなく、自分自身もそこから学びを得ていく。これまでの思考そのものを変えて、勝つための野球に育てるという要素を入れ、変化を目指しているのだ。