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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「いちばんビックリしたのは…」《プロ野球開幕》敏腕スカウトがキャンプで衝撃を受けたルーキーは?…あの5球団競合ドラ1選手には“意外な評価”
text by

安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byJIJI PRESS
posted2025/03/28 11:03

開幕直前にキャンプを視察したプロ野球の敏腕スカウトが「獲っておけば…」と後悔したルーキーとは…果たして?
ご両親がロシア人の超高校級スラッガーとして注目されていたモイセエフ ニキータ。
昨年のセンバツ高校野球、話題の飛ばないバットで飛ばした打球を、甲子園球場のライトスタンドへライナー性で飛ばしたから驚いた。ドラフト会議では、ヤクルト2位指名でプロに進んだ。
「インパクトの音がぜんぜん違うらしいですよ。ファームのキャンプでも、プロ入って5年、6年やっている選手が何人もいる中で、ニキータだけ、ガシャキーン!みたいな音で飛ばすんですって。ヤクルトの村上(宗隆)とか、バッティング練習見ていると、外野に飛んだ打球がそこからクン、クンって伸びていくじゃないですか。そんな打球だって」
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やがてはメジャーに羽ばたいていきそうな和製大砲に、うってつけの「後継ぎ」が登場したのか。
「いや、ヨソの事情は僕らにはわかりませんけど、そんなことより、ウチで欲しかったっす。1位で……という話もないこともなかった。パ・リーグでDHありますから、ウチは。プロでクリーンアップ打てそうなヤツなんて、そうそう出てきませんよ。いる時に獲っておかないと。でも、守りだって、悪くないですからね、ニキータは」
あの「5球団競合」ドラ1選手の評価は?
ところで、なかなか名前が出てこないあの選手は、いったいどうしたのか。
「宗山みたいな選手は、キャンプの短い期間の中では目立たないんと違いますか」
西武、楽天、広島、日本ハム、ソフトバンク……5球団の1位指名重複の末に楽天に進んだ宗山塁。言わずと知れた明治大学の、いや、学生球界を代表するショートストップである。
「キャンプで目をひくっていうのは、とんでもなく速いとか、とんでもなく飛ばすとか、目で見てすぐわかる才能でね。宗山みたいな、選手としてのトータルの総合力とか能力バランスの高い選手って、1カ月のキャンプじゃあ、そうは目立たない。
その代わり、見ててごらんなさい。ひとシーズン終わった時に『いやあ、やっぱり宗山ってさすがだなぁ』となりますから。長~く付き合ってみて初めて凄さのわかる選手。そういうタイプですよ、彼は」
そんな解説をしてくださったこの方も、プロ野球で長~くショートストップをつとめた「記憶に残る選手」であった。
