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「どうすれば女子バレー強くなる?」セッター関菜々巳が石川真佑と語り合った“新生・日本代表”の未来「日本にいた時には絶対話さなかったことも…」
text by

田中夕子Yuko Tanaka
photograph byTakahisa Hirano
posted2025/02/28 11:06

パリ五輪の悔しい記憶を振り返ってくれたセッター関菜々巳(25歳)
ホームゲーム時、飲食物やチームのユニフォーム、Tシャツと一緒に選手のサイン入りマスコットが並んでいた。それぞれが短い言葉やイラストを認める中、関は自らのサインの横に座右の銘でもある「継続は力なり」と記した。
「まずは今、ここで頑張る。でも、その先には日本代表があって。もちろん心の中には『私が正セッターとしてトスを上げる』という思いもあるけど、思いすぎると空回りするから、なるようになる、ぐらいの気持ちでひとつずつ。だからこれからは『継続は力なり』を続ければ『なるようになる』と考えるようにします」
これまでの日本代表での合宿や試合は、いつもふるい落とされないようにただ必死だった。でも、今は新たな楽しみも加わった。
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「日本代表として(ブラジル代表でチームメイトの)ガビと戦えると思うとワクワクするんです。だって、ガビが『日本と戦うのはいつもタフだから本当に嫌だった』って本気で言うんです。あのガビが日本を嫌がっているんだ、と思うと嬉しい。私だけじゃなく、みんなが『行きたい』『あそこで戦いたい』と思えるような女子バレー界、日本代表になれればいいですよね」
ロッカールームの掃除
パリ五輪での悔しさを糧に、海を渡ってまで選んだ新しい自分になるための挑戦。それでも従来の生真面目で丁寧な性格が、やはりセッター関菜々巳の魅力だと思わせるエピソードがある。
「試合後のロッカールームがぐちゃぐちゃだったから片付けていたんです。そしたらモニ(リベロのモニカ・デジェンナーロ)が『セナ、ここはイタリアだよ』って(笑)。『私たちは小さい頃から使った場所は使う前よりきれいにして返しましょうって教えられているから』と返したら『日本もセナも素敵だね』と言ってくれて。ちっちゃいことですけど、そんなふうに言ってもらえることも、ここでは素直に嬉しいんです」
海外挑戦の理由を「自分が一番、自分のことを好きじゃないからかもしれない。でも、だからこそ、自己肯定感が低い自分から変わりたかったんです」と明かした関。
イタリアでの戦いを終え、日本に帰国したら聞いてみたい。
今の自分、好きですか?
〈第1回から続く〉
