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「大事な試合でいつもミス…」マジメすぎるセッター関菜々巳(25歳)の“呪縛”を解放したスター軍団の深い愛「アイラブユー!セナは愛されているよ」
posted2025/02/28 11:05

各国の代表選手がそろう強豪イモコ・コネリアーノ。セッター関菜々巳(25歳)はチームメイトたちの優しさに救われていると話す
text by

田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Takahisa Hirano
関菜々巳が所属するイモコ・コネリアーノは世界最高峰リーグの一つであるイタリアのトップであるだけでなく、世界の頂点に立つ超強豪だ。
ガビ。ベラ。アーシャ。カーリー。
関がそう愛称で呼ぶのは皆、ブラジルやポーランド、アメリカ、スウェーデンなど各国の代表で中核を担う選手たちばかり。日本にいる時は考えられなかった環境で過ごす日々を「今でも信じられない」と、嬉しそうに言う。
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「こんなにものすごい選手がそろっているのに、みんな仲が良い。お互いがお互いをリスペクトし合っているから、こういう関係ができるんだと毎日の練習で感じさせられるし、何より、練習が本当に楽しいのが私には一番の衝撃です」
「日本にいるときは練習が嫌だった」
練習内容は6対6での実戦形式がメインで、個別のスキルに特化した技術練習はほとんどない。AとBに分かれても、どちらも世界選抜のような豪華なメンバーがそろっている。
“ガビ”ことブラジル代表のガブリエラ・ギマラエスがレフトからインナーに鋭いスパイクを打てば、そのコースに待ち構える中国代表の朱婷がレシーブし、今度はそのガビに向けて打ち返す。目の前で繰り広げられるハイパフォーマンスを皆で楽しみながらも、ラリーが終わればブロックの基準となる位置はどうすべきかなど、レシーブの位置取りやスパイクのコースをはじめとした必要なことを徹底的に詰めていく。
「正直に言うと、日本にいる時は練習に行くのが嫌と思うのが普通でした。でもこっちは毎日ワクワクする。人間関係に気を遣うんじゃなく、技術を求め合う集団で、やり取りを見るだけでもバレーボールが大好きなんだよね、と練習から伝わってくる。そんな中にいたら一つ一つのプレーをダメだと考えたり、落ち込むんじゃなくて、ワクワクしながらチャレンジしたほうがうまく行くんじゃないか、と思うようになったんです。考えすぎてもダメなんだってわかっていても考えてしまうのが私なんですけど(笑)。少しだけ肩の力を抜けるようになりました」
そんな今だから、認めることもできた。
「ずっと、思っていたんです。私は一生、大事なところで勝てないんじゃないかって。一種の呪縛ですよね。だからずっと、苦しかったです」