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「大事な試合でいつもミス…」マジメすぎるセッター関菜々巳(25歳)の“呪縛”を解放したスター軍団の深い愛「アイラブユー!セナは愛されているよ」
text by

田中夕子Yuko Tanaka
photograph byTakahisa Hirano
posted2025/02/28 11:05

各国の代表選手がそろう強豪イモコ・コネリアーノ。セッター関菜々巳(25歳)はチームメイトたちの優しさに救われていると話す
ここ数年の関は、セッターとして苦しんできた。
古巣の東レアローズ(現・東レアローズ滋賀)では2020/21シーズンにファイナル進出に貢献し、2022/23シーズンも優勝を懸けた最終決戦を経験した。日本代表としてもパリ五輪出場が懸かる最終予選のコートに立ち続けた。
だが、そのすべてで、最後の最後に敗れている。セッターとしてチームを勝たせることができなかった。
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勝ち切ることができないのは、セッターである自分のせいだ――生真面目すぎる性格が災いし、自らが“呪縛”と言うほどに責任を背負いすぎるきらいがあった。
タイトルマッチでも痛恨のミス
刺激を味わうイタリアでも、実は同じような局面を迎えたことがある。
2月9日、コッパ・イタリア決勝。日本代表のリベロ・福留慧美が所属するミラノとの一戦。互いに各国代表選手が多くそろうなか、コネリアーノはストレート勝ちを収め、6季連続の優勝を遂げる。
この試合、関はリリーフサーバーとして出場機会を得た。実は前日の準決勝(石川真佑が所属するノヴァーラ戦)でもリリーフサーバーとして出場したがブレイクを獲れず、「次は絶対にブレイクを獲る!」と意気込んでいた。しかし、痛恨のサーブミス。試合後、チームメイトたちが歓喜に沸いている中、ひとり涙に暮れた。
「またこの一番大事なところで思うようなプレーができない。そこから一生抜け出せないんだ、って思ったら涙が止まらなくて」
チーム加入以降、何度も関をサポートしてくれたリベロのモニカ・デジェンナーロは「どうしたのセナ、次はサービスエースを獲ればいいんだよ」と笑顔で声をかけてくれたが、ダメだダメだと過去まで思いを巡らせる関は涙を止めることができなかった。