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「大事な試合でいつもミス…」マジメすぎるセッター関菜々巳(25歳)の“呪縛”を解放したスター軍団の深い愛「アイラブユー!セナは愛されているよ」
text by

田中夕子Yuko Tanaka
photograph byTakahisa Hirano
posted2025/02/28 11:05

各国の代表選手がそろう強豪イモコ・コネリアーノ。セッター関菜々巳(25歳)はチームメイトたちの優しさに救われていると話す
そんな関を、気づけばチーム全員が囲んでいた。そして、次の瞬間、合唱のように全員が声を張り上げた。
「アイラブユー! アイラブユー!って私に言ってくれたんです。大事な試合でコートに立てなくて、しかもミスをしている私に『アイラブユー』って言ってくれる。そんな関係性を築けたことが嬉しくて、ありがたくて……。また別の意味で結局ずっと泣いていました(笑)」
コネリアーノへと帰るバスの中でも喜びの宴が始まる。ようやく涙が止まると、アメリカ代表のカリア・ラニアーが関のもとにやってきて、聞き取りやすいように一語ずつ、ゆっくりとした英語で伝えてくれた。
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「『今回はうまくいかなかったかもしれないけれど、試合後にみんながセナを囲んでアイラブユーと気持ちを伝えた。それだけセナは愛されているということなんだよ。だから自信をもって。次はきっと、うまくいくよ』って。毎日悩んで、悩んでどうすればいいのかわからなくなることもあるけれど、結局、目の前のことをやるしかない。諦めたら終わりだと今は心から思ってるし、進んだ道を後悔しないように。頑張るしかないですよね」
「来季もイタリアでプレーしたい」
レギュラーラウンドを終え、3月からはリーグ制覇をかけたプレーオフに突入し、チャンピオンズリーグのファイナルも始まる。ヒリヒリするような頂上決戦が幕を明け、シーズンは最長で5月まで続くが、関は「できるなら来季もイタリアでプレーしたい」とすでにその先を見据えている。
「次のシーズンはもっと試合に出る機会を求めたい。ここ(イタリア)でどれだけできるかが、これからの日本代表にもつながっていくと思うので」
ようやく呪縛から逃れつつある関の視線は、“3年後”に向かっていた。
〈第3回に続く〉

