炎の一筆入魂BACK NUMBER
内田湘大、常広羽也斗、佐藤柳之介…「変革」が旗印のカープキャンプで新井監督も期待を寄せる成長株の進化の証とは《キャンプ中間報告》
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前原淳Jun Maehara
photograph byJIJI PRESS
posted2025/02/17 06:00

紅白戦で3点二塁打を放つ、高卒3年目の内田湘大
投手では、一昨年ドラフト1位の常広羽也斗が昨季とはまったく異なる姿を見せている。それも当然。昨春のキャンプはコンディション不良の影響から別メニューが続いた。2次キャンプの沖縄からは一軍に招集されたものの、一軍の雰囲気に慣れることが目的で全体練習にはほとんど加わらなかった。
万全の状態で臨む今春は周囲をうならせるほどの仕上がりを見せている。ゆったりとしたフォームから放たれる切れのある真っすぐには力強さを感じる。ブルペン投球でも捕手のミットが大きく動くこともない。万全の状態で見せる今春のパフォーマンスが、本来の姿なのだろう。
「昨年(のキャンプ)は野球をしていないので。ケガをしたら悪い結果すらも出せないので、健康でいることは大事だなと思います」
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沖縄で初めてブルペン入りした右腕は、昨年の今頃を振り返り、やや自嘲気味に笑う。チームにとって今年初めて対外試合となる15日のヤクルトとの練習試合の先発に指名されたのも、期待の表れ。新井監督就任以降、対外試合初戦で先発した投手は、緊急登板となった黒原拓未を含め、いずれも開幕ローテ入りしている。
1次キャンプ中に視察した井端弘和日本代表監督も認める逸材で、3月のオランダ戦に臨む侍ジャパンにも選出された。新人王の有資格者でもある2年目右腕の評価と期待は間違いなく上がっている。
黒田博樹の指摘
投手ではドラフト2位の佐藤柳之介(富士大)もおもしろい存在だ。150キロ超の速球を投げる投手が増えた広島投手陣の中で、最速148キロの新人左腕はブルペン映えしないと思われた。だが、初日の投球練習ではブルペン捕手からベース板上の球の強さを認められ、アナリストたちも回転数などの数値に驚いていた。実戦派であることは、打者を相手にした投球を見ればわかる。6日の打撃練習登板でも10日シート打撃登板でも、真っすぐで打者を押し込んでいた。
ブレーキが効いたカーブは真っすぐを生かす武器のひとつで、カットボールも得意とする。ただ、チェンジアップとスプリットの縦変化、奥行きを使う球種には波があった。