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「キム・イェジュンのわき腹が…」井上尚弥の“ボディ3連発”で悶絶「すさまじい音がしました」世界的カメラマンの証言「それでもキムは勇敢だった」 

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福田直樹

福田直樹Naoki Fukuda

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photograph byNaoki Fukuda

posted2025/01/30 17:04

「キム・イェジュンのわき腹が…」井上尚弥の“ボディ3連発”で悶絶「すさまじい音がしました」世界的カメラマンの証言「それでもキムは勇敢だった」<Number Web> photograph by Naoki Fukuda

危なげなく挑戦者キム・イェジュンを退けた井上尚弥。カメラマンの福田直樹氏がリングサイドで感じた「ボディの衝撃音」とは

 カメラマンとして残念だったのが、アングル的に井上選手の背中しか見えない角度でのフィニッシュだったこと。個人的に、今回は撮影していて試合のリズムと自分の波長が合っていて、井上選手の「本気で当てるパンチ」をよく撮れている感触がありました。あの最後のワンツーはすごい写真になっていたかもしれないので、撮ってみたかった。

 振り返ってみると、僕は“アングル運”がまったくないんですよ(笑)。過去に何十発も「歴史に残るパンチなのに、背中しか見えない……」ということがありました。大きな試合の前にはあえてマズそうなレストランに行ったり、稲川淳二の怖い話を聞いたり、自分にとってマイナスなことをして運を貯めているつもりなんですが、なかなかうまくいきませんね(笑)。

試合後の拍手、圧倒的なスター性…カメラマンが感じたこと

 試合後のキム選手への拍手も、胸を打つものがありました。2週間前に試合が決まったにもかかわらず、しっかり体を作って、勇敢に戦ってくれましたからね。どれだけお金をもらえるとしても、急きょ「井上尚弥と戦う」というのはボクサーにとってかなり怖いこと。そんな状況でも十分に持てる力を出したと思います。ディフェンスも決して悪くなかったですし、鋭い踏み込みの左やワンツーを思い切って打っていました。

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 延期に加えて対戦相手の変更、武居由樹選手の欠場などいろいろなことが重なった興行でしたが、終わってみればそれぞれがいい仕事をして、盛り上がりを作ってくれました。キム選手も「もしかしたらグッドマンよりよかったかもしれない」と思わせるくらいのものを見せてくれた。単なる代役にとどまらない彼の頑張りが伝わったからこそ、退場時にあれだけ大きな拍手が起きたのだと思います。

 なにより、いざ井上尚弥というボクサーが入場してくると、そういった経緯もどうでもよくなるくらい、誰もが興奮してしまうんですよね。ひとつひとつの仕草、立ち姿がすべて絵になる。とてつもないカリスマ性を持った本物のスターだな、とあらためて感じました。

【次ページ】 「イノウエはすごいな!」海外での“リアルな評価”

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