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「今でも一番すごいと思った投手は奥川君」…甲子園の名伯楽も絶賛 度重なるケガで離脱も…それでもファンが“悲運のエース”奥川恭伸を待ち続けるワケ

posted2025/02/19 17:00

 
「今でも一番すごいと思った投手は奥川君」…甲子園の名伯楽も絶賛 度重なるケガで離脱も…それでもファンが“悲運のエース”奥川恭伸を待ち続けるワケ<Number Web> photograph by Fumi Sawai

下半身のコンディション不良で実戦登板回避となったヤクルトの奥川恭伸。ここまでキャンプでは順調な仕上がりを見せていたのだが…

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沢井史

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 プロ野球ヤクルトスワローズの奥川恭伸投手が2月18日、予定していたロッテとの練習試合の先発登板を回避した。

 今キャンプはここまで順調にステップを踏んでおり、この日は初の対外試合での登板となるはずだっただけに、高津臣吾監督も「今後は、当分無理だろうね、おそらく。残念ですね。今年こそはと思っていたので」と悔しさをにじませた。

 13日にはシート打撃に登板し、打者8人に投げて1安打されたものの、村上宗隆を2打数無安打に封じ、球速は最速150キロ超をマーク。表情から見ても、順調な仕上がりであることは十分にうかがえていたのだが……。捲土重来を期すエースに、またしても試練が襲った。

甲子園の主役→3球団競合も…相次ぐ故障

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 振り返れば、星稜高校のエースとして19年夏の甲子園で準優勝を果たした際に見せた屈託のない笑顔が「奥川スマイル」として人気に火をつけた。

 3球団競合の末、ドラフト1位でヤクルトに入団。2年目には9勝をマークし、シーズン後のクライマックスシリーズの巨人戦では98球で完封勝利を挙げ、MVPにも選出された。実力と人気を兼ね備えた正真正銘のエースとして、以降の躍動に一層の期待を寄せられたが、翌年からは度重なるケガやコンディション不良に悩まされ、勝ち星はおろか一軍のマウンドからも遠ざかった。

 昨季、3年ぶりに一軍のマウンドで白星を掴み計3勝を挙げたが、奥川のこれまでの経験値やポテンシャルを考えると決して満足できる結果ではなかった。

 出身の星稜高野球部は、全力プレーをモットーとする。どんな場面でも走塁ひとつ手を抜かない。奥川もマウンドに立てばバント処理や鈍い当たりのゴロでも躊躇なく飛びついていた。打者としても、たとえ凡打でも一塁まで全力疾走する。それがプレーヤーとして当たり前、当然のことだと思っていた。

 ただ、プロの世界で長いシーズンにおいて万全な状態でプレーし続けるとなると、それが全てではなかったのかもしれない。

【次ページ】 2019年センバツ…優勝候補を17奪三振で完封

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