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「キムはぎこちないな、パンチも物足りへんぞ」敗者キム・イェジュンの誤算…長谷川穂積が実況席で見た井上尚弥の“壮絶KO”「被弾が多かった」発言の真相

posted2025/01/31 11:06

 
「キムはぎこちないな、パンチも物足りへんぞ」敗者キム・イェジュンの誤算…長谷川穂積が実況席で見た井上尚弥の“壮絶KO”「被弾が多かった」発言の真相<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

1月24日、井上尚弥vsキム・イェジュン。実況席の長谷川穂積さんにはどう見えたのか?

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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Takuya Sugiyama

スーパーバンタム級4団体統一王者、井上尚弥(大橋)が24日、WBO11位の挑戦者キム・イェジュン(金芸俊=韓国)を4回2分25秒KOで下してベルトを守った。井上がまたしても圧倒的な強さを見せつけた試合だったが、今回は試合の延期や対戦相手の変更など不確定要素も多分に含まれていた。元3階級制覇王者の長谷川穂積さんはこの試合をどう見たのか。まずはリングでのパフォーマンスを分析してもらった。【全2回の1回目/後編も公開中】

◆◆◆

「相手(キム)のほうがきついんですよ」

 今回の試合はスケジュールが当初の予定から1カ月延期となり、試合の直前に対戦相手が変更になるという異例の経緯をたどった。長谷川さんはこの影響を独自の視点で分析する。

「対戦相手の変更はマイナスではないというか、仕方がないことだと考えます。僕も初防衛戦のとき、約10日前に対戦相手が代わりましたけど、何がきついかといえば、急に試合が決まった相手のほうがきついんですよ。だから僕は『相手が代わってきつい』と言うのはかっこ悪いと思って、当時はそういうことを言わなかったです。プロですから。もちろん事前に対策をしているわけで、相手が代われば対応する大変さはあるんですけど、試合があれば相手がだれであろうとベストのパフォーマンスを見せなくちゃいけないですから。井上選手もそういう考えだったと思います」

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 長谷川さんは名王者ウィラポン・ナコンルアンプロモーションからベルトを奪い、2005年9月25日に初防衛戦を迎えた。予定されていたランキング1位のディエゴ・モラレス(メキシコ)が負傷したため、直前になって挑戦者はヘラルド・マルティネス(メキシコ)に変更された。

 対戦相手のスタイルはサウスポーからオーソドックスに代わったが、長谷川さんは見事7回2分18秒TKO勝ちを収める。オーソドックスのサム・グッドマン(オーストラリア)からサウスポーのキムに代わった井上とは逆パターンながら、スタイルの変更をものともしないパフォーマンスは共通する。

 スケジュールの変更に関して、井上は「やっているときは思わなかったけど、試合が終わってドッと疲れが出た」と明かした。長谷川さんは「早まるよりは延期のほうがまだ楽です。ただ、調整が難しかったのは間違いないでしょう。井上選手ですから心配はしませんでしたけど、気の毒だなとは思いました」と同情した。

“予想外だった”キムの戦術

 さて、実際の試合はどのように映ったのだろうか。

【次ページ】 “予想外だった”キムの戦術

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