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「キムはぎこちないな、パンチも物足りへんぞ」敗者キム・イェジュンの誤算…長谷川穂積が実況席で見た井上尚弥の“壮絶KO”「被弾が多かった」発言の真相
posted2025/01/31 11:06

1月24日、井上尚弥vsキム・イェジュン。実況席の長谷川穂積さんにはどう見えたのか?
text by

渋谷淳Jun Shibuya
photograph by
Takuya Sugiyama
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「相手(キム)のほうがきついんですよ」
今回の試合はスケジュールが当初の予定から1カ月延期となり、試合の直前に対戦相手が変更になるという異例の経緯をたどった。長谷川さんはこの影響を独自の視点で分析する。
「対戦相手の変更はマイナスではないというか、仕方がないことだと考えます。僕も初防衛戦のとき、約10日前に対戦相手が代わりましたけど、何がきついかといえば、急に試合が決まった相手のほうがきついんですよ。だから僕は『相手が代わってきつい』と言うのはかっこ悪いと思って、当時はそういうことを言わなかったです。プロですから。もちろん事前に対策をしているわけで、相手が代われば対応する大変さはあるんですけど、試合があれば相手がだれであろうとベストのパフォーマンスを見せなくちゃいけないですから。井上選手もそういう考えだったと思います」
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長谷川さんは名王者ウィラポン・ナコンルアンプロモーションからベルトを奪い、2005年9月25日に初防衛戦を迎えた。予定されていたランキング1位のディエゴ・モラレス(メキシコ)が負傷したため、直前になって挑戦者はヘラルド・マルティネス(メキシコ)に変更された。
対戦相手のスタイルはサウスポーからオーソドックスに代わったが、長谷川さんは見事7回2分18秒TKO勝ちを収める。オーソドックスのサム・グッドマン(オーストラリア)からサウスポーのキムに代わった井上とは逆パターンながら、スタイルの変更をものともしないパフォーマンスは共通する。
スケジュールの変更に関して、井上は「やっているときは思わなかったけど、試合が終わってドッと疲れが出た」と明かした。長谷川さんは「早まるよりは延期のほうがまだ楽です。ただ、調整が難しかったのは間違いないでしょう。井上選手ですから心配はしませんでしたけど、気の毒だなとは思いました」と同情した。
“予想外だった”キムの戦術
さて、実際の試合はどのように映ったのだろうか。