核心にシュートを!BACK NUMBER
「詳細は言えませんが」田中碧が記者の質問に笑み…衝撃の“モドリッチ級”数値「あの時はまだでした」三笘の1ミリから2年、リーズで覚醒の真相
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byRobbie Jay Barratt-AMA/Getty Images
posted2025/01/18 11:02
リーズで躍動する田中碧。イングランドの地でも日本代表でも、今後への飛躍を予感させる時を過ごしている
「個人的な意見ですけど、シュートを決められるか決められないかについては、他のプレーとは違って、相手がいるかどうかはそんなに関係ないというか。僕はシュートを決める技術がものすごく高い選手ではないです。
ただ、『この位置であれば、自分のシュートの技術力でも点を決められるだろう』というのを知り、それを(ゲーム形式の練習や試合で)試して成功すれば、ゴールを決めるまでのプレーが成功体験として自分の中に残る。そして、その回数を増やせれば必然的に成功体験もどんどん増えていくのかなと。もちろん、それを見つけるのはすごく大変ですけど」
田中のゴールとして多くの人が最初に思い出すのは、カタールW杯スペイン戦の決勝ゴールだろう。「三笘の1ミリ」によってラインを割る寸前に折り返されたボールを田中が押し込んで生まれたものだ。でも、実は――。
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「あのときはまだ、『こういうことを積み重ねてきた結果としてゴールを取れた』というのは、そこまで明確にはできてなかったですね」
「詳細は言えませんが、たとえば…」
田中は2022年12月に日本列島を沸かせた一撃をこう振り返りつつ、その後2年間での変化を語る。
「ただ、その後くらいから、『こういう動きをしたから』とか、 『こういう(プレーの)回数が増えたからシュートチャンスが増えた』とか、『点を取れた』という感覚がつかめるようになってきたのかなと思います」
では、具体的にどういうことを取り組んでいるのか。
「どのエリアにどうやって入ればゴールの確率が上がるか、その詳細についてはここでは言えませんよ(笑)」
田中は相好を崩しつつ、「それでも……」と食い下がる記者に向かってこう続けた。
「たとえば(味方がシュートを打つときに相手守備陣などにブロックされたりして)自分のところにボールがこぼれて来るか、来ないかはわからないですけど、ボールが来た時に点を取れる位置にいなきゃいけないので。一つ挙げるとすれば、色々な試合の得点シーンをとにかく見るということですかね。まぁ、得点シーンだけではないんですけど。そういうのを見て(練習や試合でプレーするときに)真似したりしています」
田中は、自分の目で見た情報や体験した記憶を、練習グラウンドや試合のピッチ上で再現しようと試していく。成功すれば、それを成功事例として脳に記憶させる。
つまり、AIが過去の情報を吸い込み、答えの精度を上げるような取り組みをしているのだ。
トップで10年、20年プレーできるわけではない
サッカー脳のAI化は、ゴールだけに限ったものではない。