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「オファーが何個もなんて、そもそも」日本代表MF田中碧が明かす英国移籍の真相…なぜリーズで即“絶対的信頼”を得たか「タナカなら確実にね」
posted2025/01/18 11:01
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
REX/AFLO
「確実に配球しよう」「タナカに預けてもOKだ」
「なるべくボールに多く触れつつ、チームメイトへ確実にパスを配球しよう」
田中碧は8月末のリーズ加入から4試合続けてベンチスタートとなったが、その間、そんな意識でプレーしていた。それが結果的に100点満点をもらえるようなプレーに“あえて”挑戦しなかった理由だ。
「『ここにパスを通せればチャンスになるかもしれない』というような場面で無理やり難しいパスを出して、相手に奪われてカウンターを食らうようになってしまうのは、長い目で見ると、良くないと思っていたので。最初の数試合は特に、リスクのあるパスやミスを少なくすることを考えていました。それが結果的に周りからの信頼につながったんじゃないですかね」
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それはデータにも表れている。確かに、2試合目のバーンリー戦では1点ビハインドの後半31分からの出場だったため、リスクを取り、パスも67%の成功率だった。
ただ、デビュー戦であるハル・シティ戦(9分出場、2−0)ではパス成功率が90%、3試合目となったカーディフ・シティ戦(8分出場、2−0)では驚愕のパス成功率100%を記録した。
「タナカにボールを預ければ、確実に返してくれるぞ」
予想通り、田中の戦略はチームメイトのハートをつかんだようだ。
ただ、予想外だったのは——チーム外からのリアクションだ。田中加入直後から、パス成功率の高さがイングランドメディアの間でたびたび話題になった。そうした声が挙がるのは、サッカーの母国で生きるものたちの造詣の深さゆえだろう。
「『みんなサッカーが好きだなぁ』とは感じますよ。毎週のように『成功率がどうだ』とか話題になったり、細かいプレーに対しても拍手が沸いたり。そこの雰囲気はなんか(他とは)少し違うなと思いますね」
チャンスさえ生かせればスタメンは取れるだろうな
3試合を経て、迎えたコベントリー・シティ戦。前半41分にアンパドゥの負傷にともない、交代出場した。それ以降は19試合中18試合に先発、うち17試合でフルタイム出場。文字通り、チームのキーマンとなった。
なぜ、田中はそのような戦略を立てられたのだろうか。