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「オファーが何個もなんて、そもそも」日本代表MF田中碧が明かす英国移籍の真相…なぜリーズで即“絶対的信頼”を得たか「タナカなら確実にね」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byREX/AFLO
posted2025/01/18 11:01
夏の移籍市場期限ギリギリの加入ながら、即リーズの主力に。田中碧はどのように仲間の信頼を得ていったか
1つ目の理由が、所属する選手の特徴を見て、自分の頑張り次第ではチームに大きなものをもたらせると思ったからだ。
「どのチームならポジションが取れそうかは考慮しました。そのチームに何年もいるキャプテンのような選手が自分と似たような特徴を持っていたら、いくら自分に力があったとしても、すぐにポジションを奪うのは簡単ではないし。あとは、中盤のポジションにどんなタイプがいるか。リーズの場合は、中盤の選手が3人しかいなかったので」
例えばキャプテンを務めるアンパドゥ(ウェールズ代表として54試合に出場。市場価値はリーグ全選手の中で5位の1600万ユーロ)は中盤の守備的なポジションが本職で、田中にとって強力なライバルとなりえる選手ではある。ただ、多くの試合でセンターバックとして起用されていたことも移籍前に把握した。
僕らは毎試合、勝ち点3を求められる
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もう1つが、チームの順位と野心があったから。
昨シーズンのリーズは3位に終わり、3位から6位のチームが参加する昇格プレーオフ決勝でサウサンプトンに敗れ、昇格を逃した。その悔しさをもとに2部で豊富な資金力を武器に本気で昇格を目指す。そんなチームに入るのは魅力的だった。
この部分については、予想を上回る環境があった。「『自分が想像していた以上のビッククラブだな』と驚きました」と田中が話す通り、リーズは1992年のプレミアリーグ発足以降の優勝こそないものの、前身のフットボールリーグ1部を3度も制した古豪だ。FAカップやリーグカップの優勝経験もあり、名門クラブともいえる。
「注目のされ方もそうだし、対戦する相手チームの選手の表情などからも強く感じますね。どのチームも僕らとの試合ではビッグゲームみたいなスタンスでやってきますから。それでいて僕らは毎試合、勝ち点3を求められる。1試合でかかるプレッシャーは、 これまで経験してきたものと少し違うかなと感じますね」
新天地には最高の環境があったと断言できる。
実はオファーが同時に何個もなんて…
ただ、そう言えるようになるまではかなりの我慢と長い時間を要した。過去2年間は夏も冬もいくつかのオファーがあったが、あらゆる可能性を探ったうえで断ることも少なくなかったからだ。