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「オファーが何個もなんて、そもそも」日本代表MF田中碧が明かす英国移籍の真相…なぜリーズで即“絶対的信頼”を得たか「タナカなら確実にね」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byREX/AFLO
posted2025/01/18 11:01
夏の移籍市場期限ギリギリの加入ながら、即リーズの主力に。田中碧はどのように仲間の信頼を得ていったか
「まず、2度目の移籍だったということもありますよね。そして、練習のレベルが高いと感じる一方で、『このレベルでも自分はできる』という感覚があったんです。だから、焦りはなかったというか。チャンスさえ生かせれば、スタメンは取れるだろうなという自信がありました」
実は、プレミアリーグ昇格を本気で狙うリーズの選手の能力は、2部リーグのものとは思えないほど高い。例えば、選手1人あたりの平均市場価値は738万ユーロだ(※以下、『Transfermarkt』算出の数字を引用。1月7日現在、田中は400万ユーロ)。この平均市場価値を、プレミアリーグ以外の5大リーグと比較すると、驚くべきデータが出てくる。
セリエA 10位相当
ラ・リーガ 9位相当
ブンデスリーガ 7位相当
リーグアン 7位相当
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リーズは他のトップリーグにいけば、中堅からヨーロッパリーグ出場圏などを狙えるような規模なのである。そんなレベルのチームで「活躍できる」と感じたのは、田中が過去3シーズン、着実に成長を続けていたからだ。
評価は嬉しいけど、進化ではなく変化
ブンデスリーガ2部というステージで戦っていたため、あまり知られていなかったが……昨シーズンの田中は、フォルトゥナ・デュッセルドルフのダブルボランチの一角を主戦場に30試合出場7ゴール4アシスト。しかし、その成績以上に多くの人たちから高い評価を受けているのを筆者は目撃した。田中がボールを奪うシーンや、サイドチェンジで局面を変えるようなシーンなど、本拠地のスタンドから大きな拍手が沸いていたのである。
何より、老舗スポーツ誌『キッカー』の評価が高かった。全フィールドプレーヤーへの採点ランキングで堂々の6位タイだったのだ。遠藤航が2019−20シーズンにシュツットガルトで昇格を決めたときにベストイレブンに選出されたが、そのときでさえ8位だった。
ただ、あまり話題にならなかったことは、田中がくすぶっていたことを意味しない。今年1月4日の試合で決めたミドルシュートの精度と強度を見ても、渡欧前とは段違いのものになっている。
置かれた場所で着実に力をつけてきたからこそ、今の活躍がある。
「評価してもらえるのはありがたいですけど、この4カ月くらいで大きく『成長』したという感じはなくて。ただ、『変化』はしていると思います。まずは1年間、昇格することだけに全力を注ぎ、自分がチームに何をもたらせられるのか。そのために『変化』していった結果として、『成長』できればいいと思っています」
リーズ移籍を決めた2つの理由
そもそも、リーズ移籍を決めたのは何故だったのか。理由は2つある。