ゴルフPRESSBACK NUMBER
「マツヤマは日本メディアをなぜ拒否したんだ?」松山英樹を追った米記者が驚いた“ある行動”…開幕戦Vの松山に贈られるタイガー・ウッズ級の賛辞
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byGetty Images
posted2025/01/07 11:03
ツアー新記録となる驚異的な数字を残しながら、この4日間は笑顔が少なかった松山英樹(32歳)。優勝を決め、ようやく表情が和らいだ
どんなに強くても、たとえ勝利を挙げても、外国人選手が米国で認められ、賞賛されるまでの道程は、実を言えば、想像以上に厳しく険しいものである。
それは、必ずしも差別や偏見といったものではないと私は信じているが、どこの国であれ、その国のメディアが母国の選手をフィーチャーし、大きく扱うことは、ある意味、自然な成り行きであり、松山を取り巻く環境も、日本にいる松山ファンが感じている以上に、実際は厳しいモノやコトが多々あった。
しかし、2021年マスターズを制してメジャー・チャンピオンになり、昨年はジェネシス招待とフェデックス・セントジュード選手権でも勝利し、そして今年は開幕早々にシグネチャー・イベントのザ・セントリーを圧勝した松山を、今、世界が心の底から「素晴らしい」と認め、絶賛している。
ADVERTISEMENT
ウッズの専売特許である「サンデー・レッド」に倣い、松山の「サンデー・イエロー」というフレーズが多用され始めたことは、松山にとって、最高の誉(ほまれ)である。
「仏頂面だったマツヤマが笑った」
プランテンションコースatカパルアの18番グリーン。72ホール目の2.5メートルのバーディーパットをしっかり沈めて勝利を決めた松山は、2日目も3日目も、サンデー・アフタヌーンも、終始硬かった表情をようやく緩め、ついに笑顔を輝かせた。
冒頭で「62で回ったというのに、何が不満? なぜ笑顔がない?」と疑問を呈していた米メディアは、相変わらず、やや遠目から距離を置く形で松山を見詰めていた。
「仏頂面だったマツヤマが、ついにスマイルを見せた。大観衆に向かって手を振って応え、みんなで勝利の喜びを分かち合っていた。チーム・マツヤマの面々とも抱き合って喜んでいた。マツヤマがスマイルを見せるときは、スマイルを見せるに足る十分な理由がある」
そんなふうに松山を評した米メディアの記事は、彼の通算11勝目を彩るにふさわしい最高の賛辞だった。