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「もう復路優勝しかない」箱根駅伝“失意の往路4位”から駒澤大が青学大の完全優勝を阻止できたわけ…「ただでは転ばない」決意で得た“収穫”
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byYuki Suenaga
posted2025/01/05 17:26
箱根駅伝復路7区、10か月ぶりのレース出場にもかかわらず区間新の激走を見せた駒澤大・佐藤圭汰(3年)
1、2年生に経験を踏ませ、彼らが結果で応えたのは、駒澤大の育成強化が機能している証左でもある。来季、彼らの上に立つ佐藤、山川、伊藤の三羽烏がチームを引っ張る形になれば、今季以上に高いレベルでの分厚い選手層が実現するだろう。
大エースの復活
3つ目の収穫は、大エースの復活だ。
「圭汰の復活も大きな収穫です。10か月ぶりのレースで不安はあったと思うんですが、よく走りました。彼は、これから世界に出ていく選手。田澤(廉)や(鈴木)芽吹がそうだったように、いるだけで選手の刺激になるので、来季は強いエースとしての活躍はもちろん、チームにそれをどう還元してくれるのか楽しみですね」
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藤田監督は、そう言って表情を崩した。
その佐藤は安堵の表情を見せた。
「走る前は不安でいっぱいでしたけど、思った以上に走ることができました。怪我でチームを離れていた分、少しは貢献できたのかなと思います」
こうした収穫をいくつも重ねていくことが、チームを強くするためには不可欠だ。
史上最速2区の衝撃
一方で箱根駅伝そのものに目を向けると、過去の箱根とは異なり、今の時代を反映するシーンがいくつか見られた。藤田監督は、6区で野村昭夢(青学大4年)が出した56分台にも驚いたが、とりわけ衝撃を受けたのが、2区だったという。
「2区で65分台が3人(日本人2人)出たり、68分台で最下位というのを見ると、これはとんでもない時代になってきたなと思いました。2区は今後、最低が68分台になってくると思うので、そう考えると従来のタイム設定や、指導者の視点が昔の感覚でやっていると時代にあっという間に置いて行かれる感じがします。
青学大の原(普)監督は、(10000m)27分台の選手を10人並べる時代が来ると言っていましたが、それは決して夢物語ではなく、もうすぐそういう時代が来るんだというのを感じました」